01.BR:文芸・小説

2009年10月 3日 (土)

【やっぱりすごい】黄金旅風

【はじめに】
 東京は2016年のオリンピックに落選しましたね。健生です。

 国家元首がそろい踏みしたスポーツ外交の様相を呈した総会という印象ですね。

 外交という政治のファクターは今も昔も変わらないことなんだと思う重厚な一冊を紹介。

○タイトル:黄金旅風
○著者:飯嶋和一
○出版社:小学館 文庫い25-5
○ISBN:978-4-09-403315-1
○初版:2008/02/11

【読書種別】時代小説


【引用紹介文】

江戸寛永年間、栄華を誇った海外貿易都市・長崎に、二人の大馬鹿者が生まれた。「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称されたこの二人こそ、のちに史上最大の朱印船貿易家と呼ばれた末次平左衛門(二代目末次平蔵)とその親友、内町火消組頭・平尾才介である。卓越した外交政治感覚と骨太の正義感で内外の脅威から長崎を守護し、人々に希望を与え続けた傑物たちの生涯を、三年の歳月をかけて、壮大なスケールで描いた熱き奔流のような一千枚!「飯嶋和一にハズレなし」と賞される歴史小説の巨人が描いた、一級の娯楽巨編。

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2009年9月16日 (水)

【ゲーム感覚】乱世疾走

【はじめに】
 9月に入り読書の秋モードになっている健生です。面白い本を読むことは喜びですよね。確か自分の今年の目標は年間100冊だった。27冊。。。。ほど遠いな~。つんどっ亭は伊達ではありません(゚ー゚;

○タイトル:乱世疾走
○著者:海道龍一朗
○出版社:新潮社 文庫 か42-2
○ISBN:978-4-10-125042-7
○初版:2007/12/01

【読書種別】時代小説


【引用紹介文】

群雄が割拠する戦国にあって、ついに織田信長が上洛を果たした。頭角をあらわした彼の者はさらなる戦乱を呼び起こすのか。信長の覇道から帝を守護するため、「禁中御庭者」が天下一の兵法者・上泉伊勢守のもとに集められた。武、技、智に異能を発揮する五人の若者が、帝の目となり、耳となって、乱れた世を疾駆する。歴史時代小説に新風を吹き込む驚天動地の大活劇がいま始まる。

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2009年9月 9日 (水)

【軽快】のぼうの城

【はじめに】
 昨日あまり眠れなかった・・・眠い。非常に眠い。健生です。
 それにしてもやっぱり文芸作成品というのは面白いですね。ちょっと物足りなかったけど充分に満足できた作品を紹介です。

○タイトル:のぼうの城
○著者:和田竜
○出版社:小学館 単行本
○ISBN:978-4-09-386196-0
○初版:2007/12/03

【読書種別】時代小説


【引用紹介文】

時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州・忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。

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2009年9月 7日 (月)

【あぁぁ】向日葵の咲かない夏

【はじめに】
 夏休みしたいこと。それは本の紹介エントリです。健生です。何て言うのかちょっと不気味な思いした一冊です。最近の時代小説はよりエンタメ色が強く出て内容が分かりやすくなってきているけど、ミステリやサスペンスは現代が舞台だけに巧妙さが受けるのだろうか。

○タイトル:向日葵の咲かない夏
○著者:道尾秀介
○出版社:新潮社 文庫  み40-1
○ISBN:978-4-10-135551-1
○初版:2008/08/01
【読書種別】ミステリ


【引用紹介文】

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。
きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。
だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。
一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。
「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

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2009年9月 6日 (日)

【鉄砲を兵器として】雷神の筒

【はじめに】
久しぶりの本のエントリ!夏休みというのに何故か家に這いつくばっている健生です。

とはいえ都内をうろチョロして歩数は稼いでいるわけです。今回は今年直木賞を受賞した山本兼一さんの本から。3月23日に読み終わっている・・・。随分と間が空いているけど火天の城も公開されるしエントリです。

○タイトル:雷神の筒
○著者:山本兼一
○出版社:集英社 文庫や43-1
○ISBN:978-4-08-746421-4
○初版:2009/03/25

【読書種別】時代小説


【引用紹介文】

織田信長はなぜ覇者になれたのか。若き日の信長に鉄炮を指南し、最強の鉄炮衆を創り上げた男の存在抜きには語れない。
橋元一巴。
初めは民を守るために鉄炮の改良と応用に打ち込んだ。塩硝のルートを求めて種子島に飛び、好敵手・雑賀孫市と出会う。主君が覇道を邁進する一方、悩みを深めた。疎まれつつも仕え続けた一巴の生涯を通じ、信長の天下布武への道を鮮やかに描いた斬新な長篇戦国絵巻。

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2008年12月 6日 (土)

【あぁ眩しい】流れ星が消えないうちに

【はじめに】
 冬らしい天気になりましたね。昨日はかなり荒れた天気だったけど今年は寒いシーズンになりそうです。健生です。

 なかなか実際に流れ星を見たことがありませんね。都市近郊だと空気もきれいじゃないし「じゃぁこのタイトルは何?」と思わせる一冊。思い出はいつでもキレイです。

Ryusei 流れ星が消えないうちに (新潮文庫)
○タイトル:流れ星が消えないうちに
○著者:橋本紡
○出版社:新潮社文庫 は43-1
○ISBN:978-4-10-135181-0
○初版:2008/07/01
【読書種別】恋愛小説


【引用紹介文】

忘れない、忘れられない。あの笑顔を。
一緒に過ごした時間の輝きを。
そして流れ星にかけた願いを―。
高校で出会った、加地君と巧君と奈緒子。けれど突然の事故が、恋人同士だった奈緒子と加地君を、永遠に引き離した。加地君の思い出を抱きしめて離さない奈緒子に、巧君はそっと手を差し伸べるが…。悲しみの果てで向かい合う心と心。せつなさあふれる、恋愛小説の新しい名作。

【感想】
 直球ど真ん中の恋愛小説だ。かなり久しぶりの感覚だ。「ららのいた夏」以来かな。ちょっと背中がむず痒い感じだ。

 高校の文化祭の時にお互いを意識し交際を始めた加治君と奈緒子。お互いになくてはならない存在だった。そして同じ高校で同じ文化際を通して友人として理解しあった加治君と巧。この小説は奈緒子と巧の加治君との交情を交互に描いた作品だ。

 究極の三角関係と同時にいつまでも信じ合える恋人や友人の関係はこそばがゆいね。何故、そのような関係が生まれたのか。それは加治君が奈緒子と巧の心の中に存在しているから(海外旅行中に不慮の事故で亡くなった)だ。

 忘れられない存在。裏切らない存在。理解し合える存在。でも手の届かない存在。そんな現実が嫌で寄り添う奈緒子と巧の葛藤がたまらない。

 「今を生きるんだ!!」 という言葉ピッタリの時間の流れを感じた。

 時間の流れこそがお互いの傷ついた心を癒す薬なのか。今はいない加治君を受け入れた彼女、彼の姿が眩しいです。

【終わりに】
 読んでしまった。ふぅ~。それはそうと火事があった。この時期乾燥しているし風も強くなっている。火の元に充分注意しないといけない。

【関連リンク】
▼橋本紡公式サイト ぐるぐるしっぽのきいろいねこ
http://www17.plala.or.jp/bobtail/index.html

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2008年12月 5日 (金)

【不実な人々の熱い物語】6ステイン

【はじめに】
 一昨日は大学時代の友人と忘年会、昨日は課長とサシのみでした。年末ですね健生です。それにしてもなんか自分のあずかり知らないところで色々話が決まってやるべきことが決まっていくというのがとても愉快というか。不思議な感覚で今、仕事をしています。

 さて最近読んだサスペンスから熱い一冊をば。

6stain

6ステイン (講談社文庫 ふ 59-9)

○タイトル:6ステイン
○著者:福井晴敏
○出版社:講談社 文庫 ふ59-10
○ISBN:978-4-06-275709-6
○初版:2007/04/13
【読書種別】サスペンス


【引用紹介文】

愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。

【感想】
 ステイン:Stain・・・不実、汚れ、汚点

 6つの不実の人生の中にそれぞれの正義を見出す物語だ。防衛庁情報局という非公開組織に属し国家の安全のため諜報活動、ハードオプションを行う工作員達が何を思って活動をしているのか非常に熱い物語だ。

 工作員から身を引き新しい生活に入りながらも北朝鮮の工作員に命を狙われながらも過去の不実をぬぐうため一瞬の正義に生きる最初の短編「いまできる最善のこと」がこの短編集の全てを語っていると思う。

 工作員ってことはそもそも国家正義のためでもきれい事だけで済むわけがない。だからステインだ。そこに漂う後ろ暗さとは裏腹にいやだからこそ正義を貫く勇気が必要だという力強いメッセージが清清しい。そして熱い!

 「生きる」ってことです。

【終わりに】
 福井晴敏の本は結構読んでいるがここではエントリをしていない。そのうちエントリするようにしよう。

 しかし本当に防衛省にはそのような組織があるのだろうか。まぁあるとは思うけど実態は分かる分けないよね。

【関連リンク】
▼福井晴敏オフィシャルサイト
http://www.fukuiharutoshi.jp/

▼つんどっ亭:福井晴敏 平成関東大震災
http://heno-green.cocolog-nifty.com/heno/2008/03/post_a208.html

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2008年10月23日 (木)

【面白すぎた!】光の山脈

【はじめに】
 GRRこれは読んだ方がいいぞ!絶対損はしない!と体調を崩しつつ絶叫状態の健生です。それにしてもトイレに行きすぎてお尻が痛いっす。

○タイトル:光の山脈
○著者:樋口明雄
○出版社:角川春樹事務所 ハルキ文庫
○ISBN:4-7584-3221-X
○初版:2006/03/18

【読書種別】山岳冒険小説


【引用紹介文】

犬たちとともに山を駆けめぐり、イノシシを狩るロッタこと六田賢司。無欲で純粋なこの若き猟師の前に立ちはだかったのは、暴力団と手を握った企業による悪辣な自然破壊だった。その魔手が、身重の妻と新聞記者である兄に及んだとき、ロッタは狼犬・シオと、豪雪と蒼氷の南アルプスにたてこもる。マイナス20度の極寒の世界で、容赦なく顔を叩く地吹雪。壮絶なサバイバル戦の火蓋が切って落とされた…。山岳冒険小説の金字塔と大絶賛された感動の物語、待望の文庫化。

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2008年10月 3日 (金)

【ほるもぉぉぉぉあ"】鴨川ホルモー

【はじめに】
 え~~あ~~~(笑。おおたろうから健生へ変更して一発目のエントリです。最近は結構、本関連のエントリができている!おおたろう改め健生です。

 今回は久しぶりに読んだ娯楽小説ですね。かなり独特な設定でくすくす笑える本。

○タイトル:鴨川ホルモー
○著者:万城目学
○出版社:産業編集センター 単行本
○ISBN:4-916199-82-0
○初版:2006/04/20

【関連リンク】ファンタジー?


【引用紹介文】

謎のサークル京大青竜会に入った安倍を待ち受けていた「ホルモー」とは。壮大なる歴史的スケールで描く奇想青春ファンタジー。

【感想】
 じわじわと面白さがくる。小説読むの久しぶりだ。何て言うのかアイディア勝ちの作品だね。大学入学してサークルに入って遊んで恋してって一見して普通の青春小説を思わせる。

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2008年9月28日 (日)

【世相を切る】マンガで読破 蟹工船

【はじめに】
 休日出勤です。ワーキングほにゃららなおおたろうです。めっきり秋ですね。そんな休日にはこんなエントリがいいでしょう。

Kanikosen

蟹工船 (まんがで読破)

○タイトル:蟹工船 マンガで読破
○著者:小林多喜二 原作
○出版社:イーストプレス 文庫(コミック)
○ISBN:978-4-87257-836-2
○初版:2007/10/01

【読書種別】プロレタリア文学


【引用紹介文】

軍閥支配の進む昭和初期。北洋オホーツクで蟹を獲り缶詰に加工する工場船「博光丸」では、貧しい労働者たちが働いている。
不衛生な環境、長時間労働を強制する監督浅川。
過酷な環境に耐えきれず、やがて労働者たちは一致団結し、ストライキを起こすが…。「資本と労働」の普遍的テーマを描いたプロレタリア文学の代表作を漫画化。

【感想】
 小泉元首相が政界を引退しますね。格差問題の根源の人ですね。オイラの小泉元首相の政治家としてのイメージは資本主義の市場原理を際限なく政策に盛り込んだ大胆な人ってところです(昔の話ですけど・・・)。就職氷河期を経験しているのでこの一連の政策はけっこう好意的に見てたんですけどね。

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2008年9月22日 (月)

【残念!】ハードボイルド・エッグ

【はじめに】
 台風が過ぎ今日も午前中が雨だった。ちょっと蒸すけど秋だな~と感じる日になってきたおおたろうです。先週エラーな日日とエントリしたことですが電話を壊した時の音が大きかったみたいで周りの皆さんすみませんでした。反省してます。相変わらずおバカです・・・(゜_゜)。

○タイトル:ハードボイルド・エッグ
○著者:荻原浩
○出版社:文庫、単行本、新書
○ISBN:4-575-50845-4
○初版:2002/10/20


【引用紹介文】

フィリップ・マーロウに憧れ、マーロウのようにいつも他人より損をする道を選ぶことに決めた「私」と、ダイナマイト・ボディ(?)の秘書が巻き込まれた殺人事件。タフさと優しさを秘めたハードボイルド小説の傑作。

【感想】
 この人の本なら外れはないだろうと思って手に取った。しかし主人公の人物描写が個人的に馴染まなかった。最上はフィッリプ・マーロウに憧れる探偵、常に心情としてはハードボイルドに憧れ、マーロウのように振る舞うのが夢なのだ。ところが実際はハードボイルドに振る舞うことはできず動物探偵としてカツカツの生活をおくることになる。

 このギャップが面白いはずなんだけど回りくどくコメディのはずなのに軽快さに欠けていた。新しく秘書を雇うことになる場面でおばあさんとのやり取りやその後事件を解決する過程も最後の最後点と線とつながったときに笑えてほろほろできる程度・・・。

 そうこの作品は一番最後を読むことで納得する。

 それがやっぱり回りくどいんだよな。

 この作品多分続編を著者は考えていたはずだけど5年ぶりに昨年それがでた。これは個人的に期待をしている。なぜならディテールがわかっているからね。面白いかもしれない。

【終わりに】
 結構期待して読んだ本がイマイチだと損をする気分になるだろうか。今回はちょっとそんな気分を味わった。理由は一点。主人公の最上に慣れるだろうと思っている内に半分過ぎてしまい惰性で読んだところだ。

 途中でやめられなかった。・・・ん?それが面白いということか?

【読書種別】ハードボイルド

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2008年8月24日 (日)

【関根勤!】バカポジティブ

【はじめに】
 最近、ちょっとパソコンの調子が悪い。すぐにネットワークが切れてしまう。あれこれ自宅の無線LANを調べたりセキュリティの設定を変えたりして色々試しているおおたろうです。

 パソコン自体もくたびれてきている。3年も使っている(笑)。自分にしては珍しく今回のマシンは長く使っている。やっぱりレッツノートは名機だ。

Baka_poji

バカポジティブ (ヴィレッジブックス新書 6)
バカポジティブ 単行本

○タイトル:バカポジティブ
○著者:関根勤
○出版社:ヴィレッジブックス(新書)
○ISBN:978-4-86332-045-1
○初版:2008/06/30

【引用紹介文】

「バカみたいにポジティブ!」は褒め言葉。
誰といても、どんな場面でも、肩の力を抜いて、ゆるーく、世の中楽しんでいきましょう。
関根流、人生の法則。
第1章 ハートがポジティブ
第2章 人付き合いもポジティブ
第3章 モテなくてもポジティブ
第4章 家庭でポジティブ
第5章 仕事でポジティブ
第6章 健康あってこそポジティブ
第7章 妄想ポジティブ

【感想】
 関根勤さんは小学生以来とても好きな芸能人の一人である。コサキンでラジオをやっているが25年以上いつも耳を楽しませてもらっている。ここ数年娘の真理ちゃんが芸能界入りした影響か父親としての「関根勤」が大きく注目されている。好感度もUPし女性誌では理想の父親像に上位に入るなどしている。

 !!信じられない!!といったところだ。芸風は今も昔も変わらないように感じるのだが、あのクドさ、しつこさ、今でいうとルー大柴を小柄にした感じだろうか。そういえば最近はねっちとした動きはあまりしないな~。でも根底にある憎めない人間性がとても好きで応援していたんだよね。(ちなみにムックンこと小堺一機さんはちょっと洗練された雰囲気が出て(より作り込まれている)こちらも好きだ)

 そんな関根さんが書いた初エッセイ集。芸人が書いた本だからお笑いが柱と思いきや至って真面目な内容に終始している。ただしちょっとずつ笑いが入るけど・・・。オーバーな書き方をすると人間関根勤が人生とはを「ポジティブ」「肩肘張らず堂々と」をテーマに7章に渡って書いている。

 ちゃんと自分をわかって芸人やっているんだと思いました。自分の立ち位置がわかっているからこそ言えることあるんだな。

【終わりに】
 それはそうと今日失敗あり。買い物に行ったはいいけど買ったものをどこかに忘れてお茶の水にでてしまった。どこに置いたか全く記憶にない。レシートがあるので買ったのだ。帰りにもう一度買ったところに寄って買い物をしようとしたら店員がオレのことを覚えていた・・・。そうそのお店に忘れていたのだ。恥ずかしい。何でも呼び止めたらしいのだがそのままふら~と店を出て道路を走って渡ったらしい・・・。

 どこかで暑気払いでもして憂さでも晴らさねば・・。へぇ~くっしょんweep

【関連リンク】
▼浅井企画
http://www.asaikikaku.co.jp/
▼TBSコサキン
http://www.tbs.co.jp/radio/kosakin/

【読書種別】楽しみ、関根勤

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2008年5月 2日 (金)

【5月になっちゃいました・・】雷桜

【はじめに】
 5月ですね。すっかり新緑の季節になりました。全く今の時期に相応しくない本の紹介になりそうで・・・。

 更新していないと思ったらこの本ですよ。はい。

○タイトル:雷桜
○著者:宇江佐真理
○出版社:角川書店 文庫う18-1
○ISBN:4-04-373901-X
○初版:2004/02/25


【感想】
 内容はともかく表紙が全てを物語っているでしょ。タイトルも雷桜ですからね。

 時代設定は江戸幕末。主人公は確か二人。生まれたばかりの頃拐かされ山の中で暮らすことになり全く人とのコミュニケーションがたたれたまま15年後親元 に戻ってくることになった遊。その頃江戸の政争に巻き込まれ心身とも衰弱した清水斉道が静養のために遊のいる村にやってくる。

 ここまでくれば筋が読めてしまうのでざっと書くと時代に翻弄され二度と会えぬ隔たりが出来てしまう二人。しかし彼の子を身ごもり女性として人として生きることに目覚める遊。心では繋がる二人の様を繊細に描いているのだ。象徴として出てくる桜が印象的なのだ。

【終わりに】
 ありえない設定だからこそ楽しめて読める。春になるといつもこの本を思い出すな~。何故だろうか。3年前に読んでいる。作品としての面白さはなくとも人が生きることの品見たいのが良いのかもしれない。

【読書種別】:時代小説

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2008年4月10日 (木)

【陽気にGOGO】陽気なギャングの日常と襲撃

【はじめに】
 今日は寒かった、室内と外の気温が違いすぎる!おおたろうです。最近小説を読んでます。でもってコレです。

○タイトル:陽気なギャングの日常と襲撃
○著者:伊坂幸太郎
○出版社:祥伝社 新書
○ISBN:4-396-20813-8
○初版:2006/05/20


【引用紹介文】

絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽快サスペンス!伊坂ブームの起爆剤にして、映画化で話題の「陽気なギャング」ここに待望の復活。
銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」、4人組が巻き込まれたバラバラな事件と奇妙な連鎖を始め・・・。絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽妙な長編サスペンス!

【感想】
 四人の陽気なギャング達。それぞれが日常で関わるトラブルが一つの大きな事件につながっていく。テンポの良い構成と展開、くすっと笑えるところは前作通りだ。一気に読める。

 冷静な成瀬、不条理な響野、俊敏な久遠、合理的な雪子が巻き込まれる日常のトラブルがいつしか非日常的になる。彼らにとっては日常こそが非日常なので笑ってしまう。色々な複線が最後に一つになる痛快さ、楽しい気分になる。

 しかしこのシリーズは終わりなんだろうと思う。サスペンスかもしれないが突拍子もない展開とありえない背景が続きを作りにくいものにしている。あまり細かいことにこだわらないから面白いんだろうな(笑。

【終わりに】
 サスペンスというよりはコメディぽいかな。楽しいのが一番です。前作を読んだのは1年前、、、続編を読むと行ってから1年数ヶ月!やっぱりつんどっ亭です。はい。

 それはそうとNiftyBooksのサービスが終わってしまった。本の画像がないエントリがある。間抜けな状態だ。何とかしなければ!

【関連リンク】
▼陽気なギャングが地球を回す 公式HP
http://www.yo-gang.com/


▼つんどっ亭:陽気なギャングが地球を回す
http://heno-green.cocolog-nifty.com/heno/2006/07/__cdec.html
【読書種別】:サスペンス

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2008年4月 8日 (火)

【えぐすぎる】亜玖夢博士の経済入門

【はじめに】
 車にカーナビつけました。いや、、、もといつけている最中のおおたろうです。既に今年で6年目の車につけました。どこにでも行けそうです。はい。

 さぁおいらの行動は何に位置づけられるのか。

○タイトル:亜玖夢博士の経済入門
○著者:橘玲
○出版社:文藝春秋 単行本
○ISBN:978-4-16-326520-9
○初版:2007/11/30


【目次】

相談無料。地獄を見たら亜玖夢へ。経済のオモテもウラも知り尽くした著者がおくる極上の物語。読んで笑える、楽しく学べる、怖くて身につく1話1理論。
第1講 行動経済学
第2講 囚人のジレンマ
第3講 ネットワーク経済学
第4講 社会心理学
第5講 ゲーデルの不完全性定理

【読んだ感じ】
 人間の欲が引き起こす社会現象を経済学をテーマに連作短編で構成している。欲が集まると統計的学問で証明できるんだ~と思いつつあまりのわかりやすさに脱帽した。

  • 行動経済学・・・借金苦から逃れる方法
     真面目に働くか借金に借金を重ね正常な感覚を麻痺させるか。
  • 囚人のジレンマ・・・裏社会で生き残る方法
     対人、組織で生き残るために如何に利益を誘導するか。
  • ネットワーク経済学・・・いじめから解放される方法
     人は弱者強者の序列ができ強固なネットワークを構築する。如何に壊せるか。
  • 社会心理学・・・洗脳による強化とネズミ講
     いかがわしいものでも心の隙をつき論理的に攻めれば買わせることができる。逆もまた真なり。マルチ商法は洗脳が元なのか・・・。
  • ゲーデルの不完全性定理・・・まとめ、あるいは自分探し。
     自分の中に矛盾をいただきつつ本当と思うことをやり抜く。

 「神の見えざる手」という言葉が頭によぎった。複雑な欲望を経済学によって解き明かし人間の行動はかくも説明できると納得する。 しかし色々な要素が結びつくと最後の最後でゲーデルの不完全性定理ではないが、人そのものに行き着くのだろう。予測不可能と思われる人間心理の変容さえも統計的に処理され人間の予測される行動のうちに分類されることにこの小説を読んだ意義があった。

 突拍子もない設定が笑わせてくれるがいい勉強になる一冊だ。

【終わりに】
 反面教師という言葉があるぐらいだから悪いことは何かしらわかりやすい側面があるのかもしれない。と本を読んで思いました。

 しかしいじめとか、自分探し(特に大学生などの就職活動)まで・・・となると笑い半分、真面目半分でとても考えさせられた。

 大げさな設定がわかりやすいんだろうね、コレは。

【読書種別】経済小説

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2008年3月18日 (火)

【くるんだろうなぁ】M8

【はじめに】
 今週は木曜日が春分の日でお休みだ。お彼岸。花粉症と相まって何となくこの時期は好きになれないおおたろうです。

 落ち着かない、、、からです。

○タイトル:M8(エムエイト)
○著者:高嶋哲夫
○出版社:集英社 文庫た61-2
○ISBN:978-4-08-746200-5
○初版:2007/08/25


【引用紹介文】

28歳の若き研究者、瀬戸口の計算式は、マグニチュード8規模の直下型大地震が東京に迫っていることをしめしていた。十年前の神戸での震災、あのとき自分は何もできなかった。同じ過ちを繰り返したくはない。今、行動を起こさなければ…。東京に巨大地震が起こったら、高速道路は、地下鉄は、都心のビル街は、いったいどうなるのか。最新研究に基づいてシミュレーションした衝撃の作品。

【感想】
 この作品も平成関東大震災と同じで単にパニック小説とは違う。阪神大震災をベースにして予知がどれだけ可能なのかシミュレーション小説にもなっている。28歳の大学院に通う助手クラスの研究者を主人公に大地震とはを問うている。

  • 地震と震災は違う。
  • 予知は非科学的なものではない。
  • 地震発生から災害発生3日間をどう生き抜くか。

 主人公を中心にくどいように上記三点が繰り返される。これに地震雲や動植物の変異などの要素も若干加えている。そのことが真実みを帯びさせている。また阪神大震災をベースにしていることで10年前に起こった地震でさえも風化するという事実を突きつけている。

 地震は備えがあれば災害は大きくは広がらない。そのための予知であり防災運動である。地震は地球上の自然現象であり人災は地震の結果論でしかないとよくわかった。なんでこんなに力説しているのかと言うぐらい繰り返し言っている。

 でも勉強になった!

【終わりに】
 富士山噴火と東海地震とか源は同じなのかと思っていた。一緒くたに考えていた。噴火の方が予知がしやすいようだ。しかしどちらも防災意識がないと被害がいたずらに大きくなる事実だ。

 我が家の防災は・・・。寒い限りだ。

【関連リンク】
▼つんどっ亭:富士山大噴火
▼つんどっ亭:平成関東大震災

【読書種別】パニック小説、防災

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2008年3月15日 (土)

【ゆれる~】平成関東大震災

【はじめに】
 春になりました。もう初夏の装いですが・・・。極端すぎて困ります。おおたろうです。さて今回のエントリはすっかりしていたものと思っていた一冊です。・・・・読んだまま忘れていたということですね。

○タイトル:平成関東大震災
○著者:福井晴敏
○出版社:講談社 新書
○ISBN:978-4-06-214246-5
○初版:2007/08/23


【引用紹介文】

ある日の営業を終えたサラリーマン西谷久太郎を突如襲った大地震。震源は東京湾北部、マグニチュード七・三。高層ビルのエレベーターに閉じこめられ、ようやく脱出した西谷が目にしたものは…。リアルなデータと情報を満載した実用的シミュレーション小説。情報満載、新書版で登場!この一冊が、あなたを救う。

【感想】
 まさしくこの一冊がいつ起きるか分からない大地震からの救うヒントになるかもしれない。実際のデータに基づいてシミュレートした地震から生き残るためのヒントを記した小説だ。以前読んだ富士山大噴火はパニックを描いたものだがこれはパニックとは全然違う。大地震に遭った場合の生き残るための行動を心身共に描いたものだ。

 全く防災意識のない人間が読むと目から鱗である。防災意識のない人間とは自分ですね。まずは大震災が起きたときに自宅と職場が10km以上の離れているため帰宅困難者になるという。帰れないのだ。通勤途中でも場所によってはそうなる。

 さらに帰宅しようとしても被災想定地区を数多く通らないといけない。どこをどのように通って行けばいいのか全く土地勘がないことを思い知った。まぁ歩いて帰れる距離ではないので会社で被災した場合、完全に見通しがつくまで会社にしがみつくしかない。通勤途中はどうだろうか?これが問題だろうか?電車に乗っていると走行中の最寄りの駅に降ろされ避難場所に誘導されるという。見知らぬ土地に避難するのだ。・・・これはまずいよな~。

 ということで本書のコラムに書いてある非常用持ち出し袋に入れたいものチェックリストを上げてみよう。少なくとも簡易持ち歩き版を作ってみてもいいかもしれない。

 □水 □ラジオ □預金通帳 □救急用品 □ライター
 □衣類 □毛布 □非常用食品 □ヘルメット □ほ乳びん
 □ウェットティッシュ □マスク □ラップ □免許証や健康保険証のコピー
 □懐中電灯 □現金 □印鑑 □電池 □ナイフ □手袋 
 □インスタントラーメン □缶切り □防災ずきん □ロウソク
 □タオル □笛

 後は非常の際にどのように行動するのか家族で話し合いをするべきだろうか。

 □防災伝言ダイアルの活用
 □避難場所の確認
 □非常の際の避難先

 少なくともこんなことを考える小説でした。

【終わりに】
 地震ほど怖いものはない。最近多いですよね。必ず目が覚める。それが自分の声でさめるわけです。身体が勝手に反応するようです。

 これをエントリしても冊数が減りません。なんでエントリしなかったのだろうか?

【関連リンク】
○WikiPedia:南関東直下地震
▼地震情報サイト
http://j-jis.com/

【読書種別】パニック小説・防災

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2008年3月 6日 (木)

【エゴって】ねじの回転

【はじめに】
 今日は振替休日で平日に家にいるおおたろうです。先日のねんきん特別便の対応のため柏にある社会保険事務所に行ってきます。

 今回のこれは論理思考の本の合間に読んだ本ですね。恩田陸いいですね。面白かったです。

○タイトル:ねじの回転
○著者:恩田陸

○出版社:集英社 文庫
○ISBN:上978-4-08-747889-1
○ISBN:下978-4-08-747890-7
○初版:上・下 2005/12/20


【引用紹介文】

「不一致。再生を中断せよ。」近未来の国連によって、もう一度歴史をなぞることになった2.26事件の首謀者たち。彼らは国連の意図に反して、かつての昭和維新を成功させようとするが。恩田陸渾身の歴史SF大作。

【感想】
 タイムマシンがあったら何をしたいか?過去の何を見たいか?実現出来ないからこそ見てみたいことがある巧みにその好奇心をかきたてる内容だ。何故、石橋完爾?二・二六事件という設定?と最後まで興味津々で読めた。

 近未来、自分たちの都合の良い世界を作り上げようとして過去に旅立ち改ざんをした者達がヒーローとなった。しかし結果としてその歪みが新たなる病気を呼び人類を追い詰めようとしていた。

 その時、人類は歴史を作り直すことを決意する。各国の主だった歴史のキーポイントを選び出し本来あるべき姿に再生することにする。日本がその中で選ばれたのは昭和維新を叫んだ二・二六事件だ。歴史のターニングポイントとの設定だが最後まで「?」だった。

 歴史を作り直す羽目になったのも人間のエゴとするなら作り直す過程でもエゴが働くんだ!大国アメリカの都合かよ。石橋完爾、安藤大尉、栗原中尉が再生を担う人間として選ばれるがまさしく歴史の中で翻弄された人間として描かれ事件の本質が浮き彫りになっている。

 過ぎ去った時間は取り戻せない。そして人間は二度とやり直せない今を生きているんだ。時間を扱っているだけに面白さと同時に自戒の念も持たせてくれた。すごい考えさせてくれるSFだった。

【終わりに】
 歴史を再生できるのか。しかも変えたものを元に戻すために再生するという不可逆的な設定・・・。頭の中もねじのように回転したが内容もその通り。

【関連リンク】
▼つんどっ亭:図書館の海
http://heno-green.cocolog-nifty.com/heno/2007/11/post_8292.html
▼恩田陸を読む
http://www.onda-riku.com/

【読書種別】SF

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2008年2月12日 (火)

【なんで読んだかな~(笑)】ニシノユキヒコの恋と冒険

【はじめに】
 今朝は東武線が停電で一時停止になりぎゅうぎゅう詰めの電車で出勤したおおたろうです。本当のすし詰め状態は久しぶり!

○タイトル:ニシノユキヒコの恋と冒険
○著者:川上弘美
○出版社:新潮社 文庫
○ISBN:4-10-129234-5
○初版:2006/08/01


【引用紹介文】

ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ…。姿よしセックスよし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。はてしなくしょうもないニシノの生きようが、切なく胸にせまる、傑作連作集。

【感想】
 まずはこんなやつがいるのかと突っ込みたくなるような主人公だ。しゃべりも良し。容姿もいい。それでいて夜もなかなかいけている。10代でも20代でも30代でもいずれの年代でももてる男。しかし最後には女性に去られる男。懲りない男。

 女性の心にすっと滑り込む無邪気な心が全編を通して描かれているものの「人を愛せない」あるいは幼少期のトラウマから逃れられない心の傷?からか次々と愛すべき女性を求めていく。女性もまたそれを最初は受け入れるんだな~。結局は本当に愛しそうになる瞬間、ニシノユキヒコの持つ凶器みたいな心の底を垣間見て去ってしまう。

 10代から普通に見ればえらいませたガキだったに違いない。そして死ぬまで10代の頃のと同じ気持ちを持ち続けていた奇跡の物語かもしれない。

 そして男がこの小説を読むこと自体作者はあまり想定してなかったのではないだろうか。
(誰が読んでも良いのでしょうが・・・)読み終わってからそう感じた。おいらには女性の心の内が未だに読めません。

【終わりに】
 論理的なことを考えて本を読んだと思えば何故かこんな本も読んでます。最近乱読傾向かも!ツイテマス!・・・どこが。

 川上弘美さん始めて読んだ作家と思いきや以前「センセイの鞄」を読んでいますよ。全然覚えていない。読み直してエントリしよう。

【関連リンク】
▼作家の読書道
http://www.webdokusho.com/rensai/sakka/michi07.html

【読書種別】恋愛小説

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2008年1月12日 (土)

【やっぱり嫌なものは】リアル鬼ごっこ

【はじめに】
 こんな話があるんですね・・・このエントリを読んでちょっとショックなおおたろうです。ショックというのは良い意味でもあるし悪い意味でもあるんですが・・・。

【感想】
リンク: ネガティブ書評が集まって、自費出版から商業出版され映画化された話.

このネガティブ書評で話題の「リアル鬼ごっこ」だが自分も3年半前に読んでます。とても嫌な後味の本だった。

当時の感想は
「 久しぶりの駄本に出会う。恐怖小説ではなく虚しさが込み上げるただの文章が書いてある小説だ。
 この本が20万部を売り著者が出版界の救世主と解説に書いてあるのに驚く。」
とばっさりだ。

コミックとかにもなっているが原作にはない”救い”が設定されている。それぐらい原作は救いがないように感じた。

○タイトル:リアル鬼ごっこ
○著者:山田悠介
○出版社:幻冬舎文庫
○ISBN:4-344-4053-7
○初版:2004/04/10


内容は以下の引用箇所の通りです。なんだか解せない。


全国500万の「佐藤」姓を皆殺しにせよ!―西暦3000年、国王はある日突然、7日間にわたる大量虐殺を決行した。生き残りを誓う大学生・佐藤翼の眼前 で殺されていく父や友。陸上選手の翼は、幼い頃に生き別れた妹を探し出すため死の競走路を疾走する。奇抜な発想とスピーディな展開が若い世代を熱狂させた 大ベストセラーの改訂版。

【終わりに】
 こういうエントリもなかなか良い感じである。リンク先があるので印象が自分と大部違うと感じたので改めて自分もエントリしました。しかし本をエントリするとは自分でもちょっと意外だ。

 しかしこれが映画化か・・・。脚本の力がすごいのか?

【関連リンク】
▼映画:リアル鬼ごっこ
http://www.onigocco.net/

【読書種別】ホラー

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2008年1月 9日 (水)

【国際謀略!スリリング】ミッドナイトイーグル

【はじめに】
 昨日の帰りはとても興奮しすぎて頭がヒートアップしていたおおたろうです。本を読んでいる場合じゃなかったのでiPodで音楽を聴きながらの帰宅でした。

 それにしても仕事というのはスリリングかつ人間ドラマです。そのためにコミュニケーション能力や論理的思考法が大事と思いました。そんな時にはこの本でしょう。

○タイトル:ミッドナイトイーグル
○著者:高嶋哲夫
○出版社:文藝春秋 文春文庫た50-2
○ISBN:4-16-765660-4
○初版:2003/04/10


【引用紹介文】

米空軍のステルス爆撃機が北アルプスに墜落!その搭載物をめぐって男たちの死闘が始まった。報道カメラマン西崎勇次もその渦中に…。かたや週刊誌記者の松永慶子は、横田基地に侵入・逃走した北朝鮮の工作員に接触する。吹雪の北アルプスと東京。二つの場所で、男と女は絆を取り戻せるのか。渾身の国際謀略サスペンス。

【感想】

  •  自分を見失い抜け殻になった戦場カメラマン西崎勇次か。
  •  表現の自由と権力のいたずらに拗ねた新聞記者落合信一郎か。
  •  西崎との関係を精算し新しい生活のために立ち上がろうとする松永慶子か。
     (結局人間性の回復へ向かうのか)
  •  祖国のため墜落したステルス機を死守しようとする自衛隊員伍藤一等陸尉か。

 簡単に言ってしまえば日米中朝の国際謀略をテーマにしたサスペンスだ。攻撃を仕掛けた北朝鮮工作員を柱にした東京での点とカメラマン西崎勇次と新聞記者落合信一郎が墜落した飛行物体を追いかけた北アルプスでの点が線となり全貌が分かるにつれ日常が戦場になる。

 本当にこんなことが起こっているんだろうと思わせる背景と群像劇だ。しかも祖国への思い、家族回帰、人間性回復と色々な要素が最後にギュッと詰まっている。

 おいらは二番目の落合信一郎が良いキャラと思ったね。何もかも飲み込むタフガイ(この言い方古いな)。あこがれるな。

【終わりに】
 映画の原作でもある。昨年の11月に公開されてた。見たいなとは思ったが原作読んでしまったので多分見ない。だって、宣伝で究極のラブストーリーと言ってましたよ。
 どこにそんな要素があるのか?下世話な感じで見てみたいと思うけど原作の世界観壊していそうでなんだか。。。(^_^;)。

【関連リンク】
▼映画:ミッドナイトイーグル
http://www.midnighteagle.jp/

【読書種別】サスペンス

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2008年1月 4日 (金)

【日常が・・・】日曜日たち

【はじめに】
 寝正月!でも本年最初の本関連のエントリで気合いが入るおおたろうです。でもまあ時間が沢山あったので考えるだけ考えて書きました。
 素直に昨年末に読んでそのままだったものからエントリしていきましょう。

○タイトル:日曜日たち
○著者:吉田修一
○出版社:講談社 文庫 よ33-1
○ISBN:4-06-275359-6
○初版:2006/03/15


【引用紹介文】

ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。

【感想】
 5編からなる連絡短編集。何気ない男女の日常が描かれている。とても繊細な心理描写が喉の渇きにも似た錯覚を覚えさせてくれました。エレベーター(すれ違い)、被害者(倒錯)、新郎たち(情感)、運勢(情緒)、日曜日たち(勇気)。どれも本当に日常の機微を丹念に描いている。

 そして重要なのはそれぞれの主人公が偶然にも日曜日に起きたふとした風景や行為を印象深くとどめいたこと。連絡短編の裏主人公、謎の幼い兄弟たちが何のために都会を彷徨するのか。時と共に明らかにされていく行動と主人公たちの日常がなんだか救いを求めているようで人との関わりの大事さを思い起こさせる。

 飯を食う。寝る。男女の営み。それが全てが日常の風景なんだな。その何気ないことが毎日に埋もれてなお記憶から呼び起こさせるきっかけ。わずかな記憶が一縷の望みになるのはすごい。

 なんだか良い小説だった。今までにない読後感を味わった。

【終わりに】
 手に取ったとき多少とまどいましたよ。ほんとに。初めての作家だったのである種の緊張感がありました。メッセージ性のある小説と思って読んだけど自分の中ではかなり「あり」の部類に入るものでした。

 ついでにこの本もおすすめ!

盛田隆二さんの「おいしい水」これも非常に日常的ことからの発展する「何か」を感じることが出来る小説


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【関連リンク】
▼Web本の雑誌:作家の読書道
http://www.webdokusho.com/rensai/sakka/michi28.html

【読書種別】恋愛小説?

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2007年12月18日 (火)

【楽しみ】魔岩伝説

【はじめに】
 ちょっとずつエントリの構成を変えてみようかと考えているおおたろうです。それにしても本のエントリは充実しているのかどうか疑問ではあるな。

 エントリの裾野を広げたことでこんなブログでも閲覧数が増えている(ちょっとだけど)。やはり何でも一箇所原則の基本は通じるものがあるんだな。

○タイトル:魔岩伝説
○著者:荒山徹
○出版社:祥伝社文庫 あ21-4
○ISBN:4-396-33285-8
○初版:2006/04/20


【引用紹介文】

折しも朝鮮通信史が五十年ぶりに来日する直前、対馬藩の江戸屋敷に曲者が侵入した。幕閣が放つ剣客柳生卍兵衛の魔手から若き遠山景元が救ったのは、なんと朝鮮の女忍者だった。彼女が仄めかす徳川幕府二百年の泰平を震撼させる、李氏朝鮮と家康の密約とは?国禁を犯し、朝鮮に渡る景元とその追っ手たち!史実の裏で繰り広げられる壮大無比な傑作時代伝奇。

【感想】
 歴史の隙間を巧みについた剣戟あり、忍術あり、壮大な歴史の流れあり。全ての伝奇小説の要素が詰まっている面白小説だ。

 将軍家斉の就任を祝うため朝鮮通信使が来日した際通信使の秘密を暴こうとする白石党とそれを守る林家と柳生家の暗闘が始まる。

 李氏朝鮮と徳川幕府の関係、その関係を守るために張り巡らされた林家と柳生家の陰謀、幕府成立時の天海の深慮遠謀が複雑に絡みストーリーに厚みを加えている。何のために栄華を保とうとするのか?制度の疲弊が民衆の苦しみを生む。

 時代劇でおなじみの遠山金四郎が活躍し柳生卍兵衛との死闘を繰り広げる。さらに朝鮮忍術や獣人などの奇天烈キャラがどんでん返しを繰り返すのがとてもスリリングだ。

 結局は秘密を暴こうとする方も守る方も幕臣・・・。この設定が小説の面白さをちょっとそいでいる。決闘シーンや忍術炸裂、歴史上の展開はいいのだが何か最後が納得できないな。でも金さんのサクラ吹雪の秘密がそう結びつくのが良かった。

【終わりに】
 この前読んだ伝奇はかなりすごかった。これを読んでそっちの方が思い出せた。「ライハー」と頭に響く。

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【関連リンク】
つんどっ亭:黎明に叛くもの

【読書種別】伝奇小説

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2007年12月15日 (土)

君たちに明日はない

【はじめに】
 12月になって仕事で研修を行っているおおたろうです。人に教えるというのは自分に返ってくるものがあるので非常に役に立つ。
 働くことの意味を問う小説という意味ではこれはもってこいの一冊だなぁ。

○タイトル:君たちに明日はない
○著者:垣根涼介
○出版社:新潮社文庫 か47-1
○ISBN:978-4-10-132971-0
○初版:2007/10/01


【引用紹介文】

「私はもう用済みってことですか!?」リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、なぜかこの仕事にはやりがいを感じている。建材メーカーの課長代理、陽子の面接を担当した真介は、気の強い八つ年上の彼女に好意をおぼえるのだが…。恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気沸きたつ人間ドラマ。山本周五郎賞受賞作。

【感想】
 リストラがメインの小説だ。タイトルも結構ショッキングだ。ただしさほど暗い印象は受けない。ポイントは首を切られる社員が如何に前向きに現状を捉え生き方を変えていくかということだ。

 「リストラというのはあっさり行われるものなんだ」ということだ。そしていとも簡単に受け入れるものなんだ。と思わせるものがある。あっけらかんとしているので暗い感じがないのだろう。それと主人公の恋愛癖が人間味を与えているのだろうな。

 リストラをアウトソースする会社が実際にあるかは不明だが実際にあり得そうな話が全て舞台になっている。女性総合職、玩具開発主任、銀行の派閥整理などのリストラ対象者へのフォーカスが主人公村上真介の視線を通してスリリングに描かれている。

 意外にも勉強にもなった。仕事の評価と第三者的視線のあり方が分かりやすい。それにしても主人公の恋愛癖にくすくすしてしまう。

【終わりに】
 風邪を引きそうでマスクをしている。しゃべってばかりで喉がからからだ。まぁ研修相手が女性というのが運がいい。ついてます!

 それと久しぶりに単独業務から開放されそうでこれまたついてます。研修にも気合いが入る。でも予定より遅れているので若干焦ってはいます。

【読書種別】楽しみ

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2007年12月 5日 (水)

安政五年の大脱走

【はじめに】
 健康のことをしみじみ考える。ほんとに今年はつくづく考えさせられた。と昨日会社の近くの整形外科で理学療法を受けながらぼけ~とまたまた考えた。

 それにしても関東学院大学、大麻ですか・・・。興味本位ではなさそうですね。ラグビーの強豪校が出ないのはつまらないけど犯罪行為ですからね。笑い飛ばしたい時にはこんな本だろう。

○タイトル:安政五年の大脱走
○著者:五十嵐貴久
○出版社:幻冬舎 文庫 い18-2
○ISBN:4-344-40636-2
○初版:2005/04/30


【引用紹介文】

 安政五年、井伊直弼に謀られ、南津和野藩士五十一人と、美しく才気溢れる姫・美雪が脱出不可能な絖神岳山頂に幽閉された。直弼の要求は姫の「心」、与えられた時間は一カ月。刀を奪われ、逃げ道を塞がれた男達は、密かに穴を掘り始めたが、極限状態での作業は困難を極める…。恋、友情、誇りが胸を熱くする、痛快!驚愕!感動の娯楽大作。

【感想】
 題名の通り映画、大脱走をベースとした時代娯楽小説である。時代は幕末、井伊直弼が安政大獄を行いアメリカなどが開国を要求する政情が不安な時が背景である。本の雑誌2005年版おすすめ文庫王国の時代小説部門では第3位に入っているがちょっと評価が分かれるような気がする。

 この小説は井伊直弼の彦根藩主に至る過程が重要。部屋住み時代に見初めた南津和野藩の養女美蝶姫のことが忘れられずに二十年後に出会った娘の美雪姫を側室にしようとする。南津和野藩からあっさり断られると家臣長野主膳と謀り藩士ともども絶海の孤島へ拉致してしまう。

 ここからがまさに大脱走で刀もない何もない極限の状態でこの島から姫を救い逃げ出そうと悪戦苦闘する。はらはらどきどき?する訳だがどうもしっくりしないところもあるどう逃げ出そうとするか思案し実行する。穴を掘るために苦痛の作業を乗り越えようとする姿。しかし姫を救おうとする一念は藩士を一致団結させる。非常にいい!さらにすごいのは直弼の執念を忠として姦計を巡らす主膳らの彦根藩士である。あまりの対比に面白さがあるわけである。何がしっくりしなかったのだろう。やっぱり最後のシーンかな。。ずるすぎる。

 バルーンを作る発想は「あいや!」やられた。実際に当時の人間でもそんなのほんの一握りしかわからないだろう。奇想天外の作者の発想にしっくりこないのかも知れない。

【終わりに】
 1985年の奇跡で既にエントリ済みの作家だ。「エンターテイメント」に大事な要素を非常にうまく扱っている。ハラハラどきどき。これが小説だよな~。

 時間が経つのが忘れるぐらいの小説まだまだあるなぁ。

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【関連リンク】
▼つんどっ亭:1985年の奇跡
http://heno-green.cocolog-nifty.com/heno/2007/07/1985_d043.html

【読書種別】楽しみ

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2007年11月30日 (金)

図書室の海

【はじめに】
 結果について、あるいは感じていることを言葉にするのはつくづく難しいと思うおおたろうです。恩田陸初登場でしょうか?まずは短編から入るのがいいかと思いエントリです。

○タイトル:図書室の海
○著者:恩田陸
○出版社:新潮社文庫 お48-5
○ISBN:4-10-123416-7
○初版:2005/07/01


【引用紹介文】

あたしは主人公にはなれない—。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。

【感想】
 朝、久しぶりに本を開いたとしよう。まずは一編目「春よ、こい」。朝から読むにはいささか重めのものだなぁ。気分が妙に落ち着く。デジャ・ヴをアクセントに時代が常に同じ時間で止まる。朝向きではない。夕方から読むべきだ。

 これを読んだのは通勤途中のことだから結局、朝から読む羽目になったんですけどね。

 そしてこの短編集はどう考えても「六番目の小夜子」「夜のピクニック」などの長編小説の導入部を描いた作品があることから分かるようにこっちの方も読んでねというメッセージが濃厚に漂う。ホラータッチの作品あり、学園モノの作品ありで読んで飽きがこない作品集だが個人的には構成が貪欲すぎるような気がして評価が落ちる。

【終わりに】
 あまりいい感想を持っていませんでしたね。しかしそもそものクオリティが高いので非常に楽しめます。しかし時間帯は気をつけた方がいいでしょう。

 さて本当に言葉にするのは難しい。大体その為に考えることが多い。普段はあまり考えたりしない。感じたりするだけでは他人に伝わらないので考える。考える。考える。zzzz。

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【読書種別】楽しみ

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2007年11月23日 (金)

ららのいた夏

【はじめに】
 日ハムのダルビッシュ有選手がパリーグのMVPを受賞した。良かったと素直に思うおおたろうです。
 でもって今年の彼の活躍を見てこの本を思い出した。

○タイトル:ららのいた夏
○著者:川上健一
○出版社:集英社 文庫
○ISBN:4-08-747400-3
○初版:2002/01/25


【引用紹介文】

二人の出会いはマラソン大会で走っている最中だった。小杉純也はプロを目指す高校球児。坂本ららは走ることと笑うことが大好きな高校生。ららは、運動会から始まってロードレース、駅伝、フルマラソンと次々に記録を塗り替えてしまう。オリンピックすら視野に入って来た。純也もスカウトの目にとまって、プロ野球の選手としてデビューした。涼風のようなふたりの恋。青春長編ラブストーリー。

【感想】
 1989年8月に最初に世に出た。当時は丁度、主人公の小杉純也と坂本ららと同じ世代ということになる。読んでいて自然と顔がニコニコしてくる。主人公たちが交わす会話や所作がすんなりと自分の中に入ってきた。このような本を読むのは初めてだ。変に顔がにやけるから電車の中で読むのが恥ずかしかったほどだ。

 男子校に通っていたため部活で運動会で女の子と出会うきっかけというのは全くなかった。代わりに男同士の友情という奴が出来たかというとそうでもない。中学校の頃に時代小説に出会いわずかながらの小遣いをやりくりし山岡荘八、吉川英治、岡本綺堂の本を本八幡の本屋で買った少年時代だ。分別くさいガキだったと今にして思う。14,5で時代小説を読み部活もしなければそうもなる。しかしこの歳でこの本に巡り会えるとは思わなかった。読む年代が逆転している。

 作中、ららはよく笑う。とにかく笑う。颯爽と軽快に。嫌みでもなく回りをホンワカさせる笑みだ。温かい本に出会えてよかったと思う。

 主人公が日ハムの選手だから・・・思い出したんですね。

【終わりに】
 思えばなんでこの本を読んだのだろうか(・_・)。
 と思いつつエントリしつつダルビッシュ有選手の公式サイトを見る。野球選手じゃないみたいだ。千葉ロッテの西岡もすごいと思ったがそれ以上だなこりゃ。

【関連リンク】
▼北海道日本ハムファイターズ公式サイト
http://www.fighters.co.jp/
▼Darvish Yu official site
http://darvish-yu.jp/fromdarvish.html

【読書種別】楽しみ

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2007年11月 8日 (木)

戦国歴史舞台を歩く

【はじめに】
 最近独り言が激しいおおたろうです。昨日の流れで本棚を見たらこの本があるのを見つけました。それはそうと昨日、仕事をしていたら机の上に御菓子があったのをさも当然てな感じで食べたんだけど、すっかり食べ終わってから今のは誰の御菓子?という当然の疑問が!

 H2さんわざわざごちそうさまです。(゜)(。。)ペコッ

○タイトル:戦国歴史舞台を歩く
○著者:池宮彰一郎
○出版社:毎日新聞社 単行本
○ISBN:
○初版:


【感想】
 著者の池宮彰一郎さんは既に鬼籍の人ですが彼の残した作品は仮説の妙があり大変面白いです。その取材の背景を歩いたエッセイ集ですね。

 「本能寺」という作品を書いているがその際に取材で安土の地を行っている。その模様が収録されているのを思い出してぱらぱら開いてみた。

 火天の城を読んだ後にこれを読むと色々な信長像を思い描けて楽しい。

【終わりに】
 ぱらぱらめくった後に本当は池宮作品を読んだ後に読むといいんだろうなと思ってしまった。さらに盗作騒動(あるいはそのもの?)などでその作品が普通に手に入れることが出来ないということが少しばかし寂しい。

 おいらは結構、楽しんで読んだのに・・・。結構複雑な心境です。

【読書種別】時代小説

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2007年11月 7日 (水)

火天の城

【はじめに】
 室内のあまりの暑さに未だに夏服を着ているおおたろうです。さすがに朝夕が寒くなってきているので来週あたりは冬服かなとっ・・・。
 そんな時は火柱が上がる勢いのこんな本を!なんじゃそりゃ?

○タイトル:火天の城
○著者:山本兼一
○出版社:文春文庫
○ISBN:978-4-16-773501-2
○初版:2007/06/10


【引用紹介文】

信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。天に聳える五重の天主を建てよ!巨大な安土城築城を命じられた岡部又右衛門と以俊は、無理難題を形にするため、前代未聞の大プロジェクトに挑む。長信の野望と大工の意地、情熱、創意工夫―すべてのみこんで完成した未會有の建造物の真相に迫る松本清張賞受賞作。

【感想】
 安土築城を見事に描いた作品。タイトルの通り城が主人公でありそれに息吹を吹き込む岡部又右衛門と以俊の棟梁の矜恃ををかけた戦いでもある。

 色々な角度から読むことが出来る小説というのは初めて読む。単に安土築城を描いた作品ではない。何故、築城が可能になったのか?築城を行う意義、街作りが終わった後の政治の有り様について棟梁一門を核にして分かるように展開されている。

 築城とは数年がかりのプロジェクトであり5年先10年先を見越すだけの政治力が信長に備わっていること(見切っている!)。
 七層の天主を立てる技術力と人員動員と組織作りがいかに理知的な行為かということ(昔の技術は古いなんて見方は間違い。全く今と変わらないし人出をかける分よりリーダシップが問われる!)。

 従来の天下のあり方とは全く違うアプローチをしていることが歴史的に意義がある。大坂、名古屋、江戸と大規模な築城がその後続くが一つも珍奇な目で見られていない点がその証明ではないだろうか。明らかに六〇余州を治める為の街作りが最初から頭にあっての安土築城だと嫌というのほど分かる。

 信長って本当に天才なんだなぁと思う。
 小説なので読みどころは沢山あるがやはり岡部親子の葛藤や築城に魅入られた人々の軋轢や誇りはしっかり人間世界を描いていて読み応えがある。

【終わりに】
 明らかに信長は室町時代の流れとは違うことを模索していたんだ!というのが分かる小説だ。

 それにしても安土城でググると動画資料がYouTubeにUPされているので面白い。

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【関連リンク】
▼滋賀県立安土城考古博物館
http://www.azuchi-museum.or.jp/
▼信長王
http://www.nobunagaou.com/

【読書種別】時代小説

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2007年11月 3日 (土)

佃島ふたり書房

【はじめに】
 ふと気づいたから11月ですよ。先週の台風の所為でまだまだ秋はこれからだと思っていたおおたろうです。後二ヶ月切りましたね~。早い。
 そりゃ~そうと買ったままついうっかり忘れてしまったモノがありんす。自分でも信じがたいことですが・・・。近いうちエントリします。

○タイトル:佃島ふたり書房
○著者:出久根達郎
○出版社:講談社 文庫て-8-3
○ISBN:4-06-263012-5
○初版:1995/07/15


【引用紹介文】

佃の渡しが消えた東京五輪の年、男は佃島の古書店「ふたり書房」を立ち去った―大逆事件の明治末から高度成長で大変貌をとげる昭和39年まで移ろいゆく東 京の下町を背景に庶民の哀歓を描く感動長篇。生年月日がまったく同じ二人の少年が奉公先で知り合い、男の友情を育んでいく。

【感想】
 第108回直木賞作品。
 下町、佃島を舞台にした大衆小説。明治末期から昭和38年までの時代を古本屋という一件地味な存在なものを時代の背景に合わせたながら描いている。非常に描かれている時代を読み取ることができる。

 第一次世界大戦後の軍需景気による官公庁の図書大量購入による古書業界の好景気のよさ。関東大震災の後、ダクばあさんの言葉はさらに印象的だ。「どうしたもこうしたもない。人間が飢えるのは食物だけじゃない。食物さえ確保されれば次に欲しがるものは活字さ。東京中の本が丸焼けになったんだ。生涯に二度とない金もうけの機会だぞ」

 当時の社会状況を的確に表現し、庶民の娯楽の王道が活字であったことがよく分かる。あまりに内容にすっこりはまるので主人公が繰り広げる人間模様が自然過ぎて戸惑う時がある。よって時代を明治から大正、大正から終戦、終戦から復興という時代背景によって内容をくぎりざるをえないところがあるのが残念である。しかし70歳を過ぎた郡司が東京オリンピックを前にして佃大橋ができ、復興が著しい東京を後にする姿は失われゆく古き東京の象徴のようである。

【終わりに】
 9年前に読んだ本だ。記憶に残っていた訳ではなく記録を取っていたからエントリ・・・(^_^;)
 しかもおいらと名前が一緒です。結構、そういう縁で出久根さんの本は読んでいたりする。

 90

【読書種別】楽しみ

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2007年10月26日 (金)

産霊山秘録

【はじめに】
 最近ちょっと本を読んでいるのを休んでいるおおたろうです。全然読んでない。積ん読の本領発揮と言えますな~。ということでちょっと前に読んだモノを・・・。(^g^)

○タイトル:産霊山秘録
○著者:半村良
○出版社:集英社 文庫 は5-31
○ISBN:4-08-747887-4
○初版:2005/11/25


【引用紹介文】

はるか古代から続く「ヒ」一族は、国が動乱期にさしかかると、特殊な能力を使って危機を救ってきたといわれる。その能力とは、御鏡、依玉、伊吹と呼ばれる三種の神器を使ったテレパシー、テレポーテーションであった。物語は戦国の世、織田信長の比叡山焼き討ちから始まり、関ヶ原、幕末、太平洋戦争、そして戦後の混乱期へと四百年の時を越える。歴史の襞の中で動く「ヒ」一族を圧倒的スケールで描くSF伝奇ロマンの傑作。

【感想】
 上古、神の御世には天皇より上位にいた「ヒ」一族がいた。いつしか時代は廻りヒは平和を探求し世俗的なこと(政治、軍事)を天皇家に任すに至る。一見して天皇家の家来のような形になったのだ。平和への探求は人の願いを聞き届ける産霊山の調査とその総本山である芯の山を探すことにあった。まさしく伝奇小説だ。

 織田信長の天下布武は時の天皇正親町帝からヒに対して勅忍の宣下があったことに発する。ヒの平和への活動は世俗にまみれそして神聖が薄れていく。しかし平和を求められずにはいられない。天下布武の最終目的、本能寺の真相、徳川幕府の江戸開幕の秘密、天海と日光東照宮の秘密、300年の平和な時代の裏、これは全てヒなくしては語れない。歴史の符号が見事だ。

 幕末から第二次世界大戦へとヒは世間へ溶け込みつつ歴史の表から完全に姿を消し、忘れ去られていく。しかしわずかな生き残りや伝承により日本ばかりか世界までもを動かしていく。中盤から終盤にかけての展開はうなるだけだ。圧巻だ。

【終わりに】
 伝奇小説。凄いな~と思うのは歴史の隙間を縫うような解釈とそのつじつま合わせ!時空を超えた展開に半村良は凄いな~と思った訳です。

 文庫本の装幀のカバーイラストの少年は俳優の柳楽優弥に似ている。左のは・・・赤井英和をイメージしているんだろうなぁ。

【読書種別】時代小説

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2007年10月17日 (水)

剣の天地

【はじめに】
 犬吠埼に行きたい。理由は分からない。ついでに飯岡海岸にも行きたい。理由は分からない。風に吹かれたいし見晴らしのいいところに行きたい。おおたろうです。
 だからこの前変な夢見たのだろうか。心身ともにまだまだ未熟な自分です。そんな時はこれはどうでしょうか?

剣の天地 (上巻) (新潮文庫)
剣の天地 (下巻) (新潮文庫)

イメージは想像してください!?

【引用紹介文】

 時は戦国-----のちに「剣聖」と仰がれる上泉伊勢守は関東制覇の要衝・上州は大胡の城主。上杉謙信・武田信玄・北条氏康の野望に巻き込まれ、戦場から戦場へ体を休める暇もない。その武勇を「上州の一本槍」と天下に轟かせるも、一介の剣士として剣の道に没入できる平穏な日々の訪れを秘かに願う伊勢守だった。折しも国盗り合戦は佳境を迎え、上州の勢力図にも大きな変化が・・・。
 押し寄せる武田軍によって上州は陥落寸前。死を覚悟し、最後の出陣に臨んだ上泉伊勢守に「兵法を広めよ」との伝令が・・・・。隠居を決意した伊勢守は、剣の道を究めるため、旅に出る。柳生の里や京都で「心と躰は二にして一」という「活人剣」を標榜し、無益な殺生を拒否した伊勢守が、最後に見せた凄まじくも静かな剣技。「新陰流」の創始者となった戦国武将の勇壮な生涯を描いた長編時代小説。

【感想】
 兵法者としての伊勢守か武将としての伊勢守か二つの狭間で自分の野性に従う姿。そして家督を継ぐ息子、密かな女性への思いが優しさをにじみ出す。

 厳しさと優しさ、著者の池波正太郎の真骨頂かな。

【終わりに】
 真剣とあわせて読むといいかもしれない。二人の伊勢守を比較するのも一興です。同じ人物を描いているとは思えないぐらい違うけど、求道者としての姿はどちらも迫るものがある。

 動の真剣、静の天地!だろう。

 89

【読書種別】時代小説

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2007年10月12日 (金)

真剣

【はじめに】
 最近、どうもトラブルが多い。その度ごとに対応に思われてついつい「すみません」と頭を下げてしまうおおたろうです。
 自分が悪い?とかではないのだがちょっとバタバタしすぎだなぁ。今日は出社したらどうなっていることやら。自分を見つめ直したい、強くありたいと思ったらこの一冊を!

○タイトル:真剣
○著者:海道龍一朗
○出版社:新潮文庫 か42-1
○ISBN:4-10-125041-3
○初版:2005/12/01


【引用紹介文】

戦国の世を生きながら、男は如何にして「転」の極意へ至ったのか―。上州の小領主・上泉家に生まれた信綱は、愛洲移香斎ら達人を師に、兵法に天稟をみせる。だが、一武将としては戦乱に敗れ、武田信玄にもその器量を認められながら、廻国修行の道をこころざす。宝蔵院の槍、柳生の剣との邂逅は、この男に何をもたらすのか。兵法の極みを目指す男たちを描く圧巻の歴史時代大巨編。

【感想】
 外連味のない兵法に生きる男を描いている。新陰流というと柳生ですがその柳生初代の石舟斎のお師にあたる上泉信綱の物語だ。

 冒頭、既に隠居し兵法を極める為と新陰流を広めるため伊勢の北畠具教と立ち会う場面から始まる。そこから塚原卜伝の新当流の一の太刀、新陰流の無形の位などその後のキーワードになる要素がでてくる。もうここでゾクゾクものである。

 質実剛健の一言だ。己の限界と兵法を極めるための深奥、一族を率いる武将として器量、師匠にあたる松本備前守、愛洲移香斎との人間修行と兵法指南は人間上泉信綱の切磋琢磨がきりきり痛いほどだ。

 最後の宝蔵院槍術、胤榮との立ち会いは緊迫感が行間に漂っている。それも何ていうのかな、柳生宗厳や胤榮が関西弁を話をしているからだろうか。東国と西国の人間だから当たり前だが言葉に違いがあるんだよな~。そういう細かいところを描いているからか迫真さに磨きがかかっている。

【終わりに】
 昨日は午前様でした。眠い。今回の文庫本は装丁が良いですね。上泉信綱像を最初に打ち破りました。

 池波正太郎さんが同じ武将を描いている作品を読んでいたからだ。こっちは優しさが全面に出ていたので柔和の印象が強かったのだ。ちゃんちゃん。

89

【引用】

何も見切れずに思ったことをすぐ口にするのは阿呆の所業。中途であれこれ人を評するのは愚者の軽率。心無いことだけを言うものはただの迷惑者であり、物事を見切ろうとする心や才のない者はすでに論外だ。

相手の時のすべては、自分には見えない。それでも、共と共有できる時を信じるならば、その始まりにあった何かを信じなければならない。ただ、それだけのことだった。

【読書種別】時代小説

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2007年9月27日 (木)

にっぽん・海風魚旅2 くじら雲追跡編

【はじめに】
 昨日は見事に晴れたな~。中秋の名月!見事でした。月明かりは結構明るいな~と思いました。おおたろうです。
 こんな時はどこか行きたいね~。というわけでこの一冊。

○タイトル:にっぽん・海風魚旅2 くじら雲追跡編
○著者:椎名誠
○出版社:講談社 文庫
○ISBN:978-4-06-275647-1
○初版:2007/02/15


【引用紹介文】

空から海からコンニチハ。いい人、うまいものと出会うために、日本の海べりをめぐり歩いたら、宮古島ではニシキヘビの開きが、和歌山の太地ではクジラが、山陰ではババアという名のあやしい魚が待っていた。ヨロコビを求め、全国の海を見に行く「にっぽん・海風バカウマ旅」は続く。フォトエッセイ第2弾。

【感想】
 本を読むときにどう読むだろうか。旅にいけなくて、でもその気分を消化したいときどうするだろうか。そんなときこの本が役に立つ。椎名さんが取材旅行に行った各地のことを写真を交えてレポートするフォトエッセイだ。

 主旨は海辺の町、島を舞台として食べることやらその土地のことを怪しげに書いている。宮古島、南紀方面ととにかく海が好きな著者だけあって開放感がある文章が楽しめる。

 ちょっとした時間に旅気分を味わいたいときにおすすめだ。

【終わりに】
 旅に出たい。どの辺がいいだろうか。・・・思い浮かばないところがおいららしいの~。

 「お・ぱ・ぴ~」って変に耳に残ってしまった。何なんだこれは~(笑)。

 91

【読書種別】楽しむ

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2007年9月25日 (火)

明日の記憶

【はじめに】
 二週続けて三連休というのもこの時期ならでは。ここ数年でようやっと従来の休日の違いに慣れてきた。関東はほどよい天気で良かったな~。休み明け・・・ぼけて身体にムチ打ちながら出勤です。

○タイトル:明日の記憶
○著者:荻原浩
○出版社:光文社 単行本
○ISBN:4-334-92446-8
○初版:2004/10/25


【引用紹介文】

 まずお歳を聞かせて下さい」「ここはどこですか」「次の三つの言葉を覚えて下さい。いいですか、あさがお、飛行機、いぬ」「今日は何曜日ですか」「さっきの三つの言葉を思い出して、言ってみてください」人ごとだと思っていたことが、我が身に起きてしまった。最初は物忘れ程度に思っていたが、若年性アルツハイマーの初期症状と告げられた。身につまされる傑作長編小説。

【感想】
 読むのが怖いと感じ買ってからそのままにしていた作品だ。一応意味ある積ん読をこの本の場合はしてました。

 若年性アルツハイマーに罹った広告マンの物語。作者、荻原さんの今までの作品を読んでみて多少コメディタッチな部分もあるかと思っていたが全くなかった。主人公の佐伯は広告会社で部長を勤めている。最初は単なる物忘れと思っていたものが不眠や目眩の併発で病院へ行くことになる。そこからアルツハイマーと向き合うことになる。

 病気への恐れ、将来への不安、何より自分でなくなることへの失望感、家族や会社への遠慮など心理状態が克明に移ろう。病気になっても体裁に拘る場面もありかなりリアルだ。

 周囲の人々の心模様もぐっさと来るものが多い。仕事では部下が野心と共に裏切り、趣味の陶芸教室の先生は記憶が曖昧なことをいいことにお金をだまし取ろうとする。

 ありのままに色々なことが起こり主人公の佐伯の葛藤シーンがあまりに残酷で胸を打つ。残酷すぎる。ラストに佐伯とその夫人、枝実子が寄り添うシーンで終わるが一筋の光明と見るか婦人がどう考えて生きていこうとするのかとてもとても考えさせられる。

=追記
 主人公、佐伯が作中日記を書くけどこれがまた迫真なのだ。読めばわかるので省くけどこれに気づいたときは結構ショックだった。

【終わりに】
 小説家ってものは凄いことを考えつくモンだと思いますね。本当にね~。多少はこれを読んで元気づけられたかな?おいら。

 全然話変わるが自民党の総裁選の時に麻生候補を突然応援しだした方々は何何だろうか?あれは自民党の党員?党友?なのだろうか?不思議な行動だ。

89

【関連リンク】
▼明日の記憶 映画HP
http://www.ashitanokioku.jp/

【読書種別】楽しむ

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2007年9月11日 (火)

富士山大噴火

【はじめに】
 先日見た日本沈没からどうも気になる。時期的なこともあるのだろうか?すると踊らされているのだろうか?おおたろうです。蒸し暑い・・・。喉が・・・痛い。

○タイトル:富士山大噴火
○著者:鯨統一郎
○出版社:講談社 文庫
○ISBN:978-4-06-275672-3
○初版:2007/08/10


【引用紹介文】

八月一日に東京で地震が発生する。天文台に勤務する新藤一美の予知はピンポイントで的中。幸い死者は出なかったものの、これに呼応するように富士山周辺で不気味な前兆現象が観測される。動物の異常行動、山体の膨張…、そして一美の噴火予知。情報を知らされたカメラマンの達也とライターのさゆりは。

【感想】
 富士山噴火を描いたパニック小説!。

 防災と聞いて何を思い浮かべるだろうか。まずは”地震”だろう。噴火を言う人はまずいないのではないだろうか。この盲点を突きパニックを表現している。

 動物の異常行動、アマチュア地震予知者新藤一美の新説予知を通して最新の地震予知の現状、実際に東京直下型地震が起きた時の国民の動き、賞賛される防災意識と対策の質。全てが噴火への序章にすぎない。

 地震と噴火は全く別で全く異なる対応を行うべきという下敷きがある。富士山ぐらいの大きさの山がエネルギーを溜め込んだ状態で噴火するとどうなるのか。恐らくシュミレーション以上のことが起きるに違いない。想像できないことが起こるからパニックを引き起こす。そして為す術もなく立ちつくすしかないことになる。

 怖いもの見たさで読んでしまった(∋_∈)。

 細かい内容は主人公山本達也と天堂さゆりの恋の行方や噴火予知に関する進展や地震学者の行動、群像劇が展開されるが最後の最後は読まない方がいいかもしれない。ほっとするかがっかりするかだろう。

【終わりに】
 鯨統一郎は初めて読んだ。この人が覆面作家だと初めて知った。単純にかっこいいと思ったな。どんな人がこういうことを書いているんだろうか?覆面!覆面だよ。

 たしか友人が以前紹介してくれた中に鯨統一郎があったな~。こんな形で初めて読んだよ。はははははははぁ。

【関連リンク】
▼気象庁:緊急地震速報
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/index.html
▼地震予知連絡会
http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/ccephome.html
▼気象庁:火山噴火予知連絡会
http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/STOCK/kaisetsu/CCPVE/CCPVE.html
▼富士山.NET
http://www.fujisan-net.jp/index.php

【読書種別】お楽しみ

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2007年9月 3日 (月)

ランナー

【はじめに】
 バッテリーを読んで以来あさのあつこファンになってます。素直に感動できるところがいいのか?会社での人間関係にないものを求めているのか?たまにどっちだ?と感じてます。

○タイトル:ランナー
○著者:あさのあつこ
○出版社:幻冬舎 単行本
○ISBN:978-4-344-01345-2
○初版:2007/06/25


【引用紹介文】

「おれは走れないんじゃない、走らないだけだ、そう信じたくて、逃げちまったんだ」長距離走者として将来を嘱望された高校一年生の加納碧李は、複雑な境遇の妹を案じ、陸上部を退部することを決意した。 だがそれは、たった一度レースに負けただけで走ることが恐怖となってしまった自分への言い訳だった。 走ることから、逃げた。 逃げたままでは前に進めない。 碧李は、再びスタートラインを目指そうとする──。

【感想】
 帯に茂木健一郎が「これは現代の走れメロスだ」と言っていた。走れメロス。友情か、正義感か、信念か。そういう言葉が頭を巡る。心底熱い何かがあるのだろうなと思いつつ手に取ってみた。

 背景、人物構成とも全く違うし走れメロスのオマージュでもない。しかし確かに主人公碧李の正義感であり信念であり友情であり悔恨からの復活でもある。

 トラック競技からの敗北から全てが始まる。複雑な家庭事情から妹が母親からDVを受けている事実をつかみ妹を守ろうという一心から走ることから身を引いた。しかし全ては敗北から言い逃れるための言い訳にすぎないことを先輩、友人、妹を通して悟のである。自分には走るしかない!

 高校一年から二年の出来事であり、心理描写。繊細さ宿る思春期の物語である。清々しいほどに一本筋の通った主人公の姿に感動するはずである。

 あさのあつこ、少年の心理描写が巧みすぎる。しかもどちらかというと早熟と言っていいのだろうか。バッテリの巧といい、今回の碧李といい深く深く考え行動し周りに良くも悪くも影響を与える。逆に少年故の焦りとか友人との微妙な距離感というのだろうかクールすぎて味気ないところがある。ただこの作品はその焦りをうまくランナーとして誇りにかけていて小気味良かった。

【終わりに】
 こんな主人公いるんだろうか?おいらの高校生の時ってこんなに深く考えていただろうか?行動していただろうか?そして今があることを考えるとやっぱりすげ~小説だと思うな。それにしてもすっかり秋になってしまった。

【関連リンク】
▼SankeiWeb(産経新聞)著者に聞きたい
http://www.sankei.co.jp/books/interview/070729/int070729000.htm

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2007年7月21日 (土)

黎明に叛くもの

【はじめに】
 前回のエントリでは時間管理?関連が続くと思いきや最近読んだ時代伝奇小説を紹介です。歴史小説は分類を問わず結構好きです。理由は簡単。史実の中にどれだけの推理と嘘を織り込ませるか楽しみだからです。今回のも良かったな~。

黎明 ○タイトル:黎明に叛くもの
○著者:宇月原 晴明
○出版社:中央公論社 文庫 う26-1
○ISBN:4-12-204707-2


【引用紹介文】

ペルシアの暗殺法を伝える山で刺客として育てられた美貌の稚児。志を胸に山を下りた少年は、長じて松永久秀と名乗り、京を手中に収める。織田信長より過激、斎藤道三よりしたたか―戦国一婆娑羅な悪党は、妖しの法を自在にあやつり、信玄、謙信、光秀はじめ群雄たちを翻弄する。虚と実の狭間に屹立する異形の戦国史。

【感想】
 伝奇小説恐るべし。信長の死の真相がクライマックスだがそれに至るまでの史実と虚実を織り交ぜた構成に釘付けでした。
 古代から伝わるペルシアの秘法【暗殺術】、波山の法を受け継ぐ二人の若者、庄五郎と久七郎が天下に夢を馳せ長じて斎藤道三、松永久秀となる。秘術を巡り対象的な活動を展開する二人は美濃、河内を舞台に戦国下克上を駆け上る。ここまで書くと普通の小説にも見えるが時隔てて若かりし頃の道三と久秀、波山の法(特に果心)の来歴と日輪と星の謂われ、信長を中心に動き老いた久秀が波山の法を何の目的で誰に引き継ごうとしているのか。あらゆる視点、時空から描かれ怪しげな法が次々に武将を殺めていく。
 伝奇小説の醍醐味を存分に楽しめる。時の流れに飲まれる明智光秀と名物茶器の秘法との関わりは見事の一言である。クライマックスも見事なのだが信長が何を見ていたのか突っ込んで描いてくれるとなお面白かったはずだ(もしかしてダラダラするので省いたのかも!)。

【終わりに】
 史上明きらかであるが光秀は本当に何を考えて謀反に及んだのだろうか。ここで描かれている世界を見て単に踊らされた幾分滑稽な光秀像を見てしまったが実際はどんなであったのだろうか。家康の参謀天海になりすましたのか?いずれにしても読後感もよい一冊でした。

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2007年7月11日 (水)

1985年の奇跡

【はじめに】
 面白いものを読みたいな~と思いまさしく1985年と言ったら結構象徴的な年なので直感的にいけると思って手にしてみました。

1985年○タイトル:1985年の奇跡
○著者:五十嵐貴久
○出版社:双葉文庫 い38-1
○ISBN:4-575-51076-9


【引用紹介文】

おニャン子に夢中だったあの頃。僕らの弱小高校野球部にスゴイ奴がやってきた!『夕やけニャンニャン』を見ること以外何のヤル気もない僕らが、アイツのおかげでひょっとしたら甲子園に行けるかも!ってマジ!?―山あり谷あり、笑いあり涙ありでページをめくる手が止まらなくなる青春小説の傑作だ。

【感想】
 ハッキリ言ってこの本は面白い。30歳から40歳前半限定エンターテイメントと言ってもいいくらいである。なんと言ってもおニャン子クラブが設定の背景にドンと来ているのである。国生、新田、福永と言って分かる世代は限られる。
 同時にプラザ合意による経済政策の転換によりバブル景気が起こる夜明け前だ。地に足がつくかつかないような世相を背景に管理教育やら校内暴力やら尾崎豊などがあっさり出てくる。面白いが懐かしい。懐かしいが話があり得なくて面白い。
 これがエンタテイメントなんだろうな~。細かい内容の説明なんてかけません。ただ、面白いです。はい。
 これだけは書いておこう。表紙にもあるとおり高校野球が申し訳なさ程度に舞台だがこれが結構うなずける設定です。85年サッカーはまだ脚光浴びてない。スポーツときたら野球だったのだ。ツボを突きすぎていてこれだけで笑える。

【終わりに】
 安政五年の大脱走を過去に読んだがそれより断然面白い。スッカとしましたね。楽しむための読書が続いている。しかしビジネス書も読んでいるんですね~。
 現在、まとめている最中です。はい。

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2007年7月 9日 (月)

花神

【はじめに】
 久しぶりに普通の本のエントリです。ちゃんと読んでいるんですよ。亀の足。今回はその亀(蔵六)と例えられた人が主人公です。
 今更ながらに司馬遼太郎はすごいと思いました。大村益次郎(村田蔵六)を主人公にして何を描きたかったのか。もしかしたら今の歳だから自分なりの理解と同時に著者の凄さが分かったのかもしれない。

Omuramasujiro
今回は本のイメージはありません。
尊敬する村田蔵六先生の肖像をば。

○タイトル:花神
○著者:司馬遼太郎
○出版社:新潮社文庫 し9-17~19
 上4-10-115217-9
 中4-10-115218-7
 下4-10-115219-5
 


【引用紹介文】

 周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵の適塾で蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。

【感想】
 エンターテイメントと司馬史観が違和感なく両立している。また同時代の人物(高杉晋作、西郷隆盛)との比較や風俗、当時の世界観などがわかりやすく村田蔵六の目を通して描かれている。

 大阪の適塾に在籍し塾頭まで勤めた村田蔵六。しかし時代はまだ彼を必要としなかった。ペリー来航による鎖国体制が崩れた時、開明的知識(蘭学)の需要と共に時代の風雲に身を任せることになる。優れた分析力、冷静な論理構築は今までにない日本人の思考の有り様を宇和島藩、幕府の蕃書調所、長州藩に足跡を残す。西洋文明をいかに同胞に伝えるのかということもあらゆる造語からも読み取れる。

 シーボルト・イネとの恋、適塾の後輩との交流などの群像を追いかけながら国政として当時の攘夷、尊皇、倒幕を蔵六に語らせる。攘夷と倒幕による開明主義は裏腹なれど矛盾しないという思想的背景がよく分かった。

 緻密な分析により目的よる戦略と戦術を使い分ける理解の仕方は非常に今に役立つと思う。西洋思想(キリスト教義)を背景とした科学を日本的な技術吸収力により概念だけ抽出し物事を組み立てていく。悪い言い方をすればいいとこ取りだがそれだけ要点を絞って理解し再構築できている。蔵六の姿勢がビジネスにも大いに役立つものと感じ入った。土着的攘夷主義(ある種のナショナリズム)の描き方も自然でその分、今の会社!というものを考えさせられた。

【終わりに】
 とてもうならせる本であった。冒頭にも書いたがこの歳になって初めて司馬遼太郎の影響力を思い知る。そして今までも何冊か読んだがそのいずれよりもこの本はすごいという感想を持ったしだいである。

【関連リンク】
▽Wikipedia
 花神

追記:20070714
 本の情報を追加

 

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2007年6月 5日 (火)

愛妻日記

【はじめに】
 遅読の本領を発揮しています!全然読み進んでいません。今年に入って重松清三冊目です。まさかの衝撃の・・・一冊です。

愛妻 ○タイトル:愛妻日記
○著者:重松清
○出版社:講談社文庫
○ISBN:978-4-06-275699-0

→Amazonへのリンク

【引用紹介文】

『ごめんね、ごめんね…。
妻をいままで辱めなかったことを詫びたのでした』。
直木賞作家による匿名の官能小説として大反響を呼んだ表題作のほか、夫のゆがんだ情欲を描いた全6編。「家族と夫婦の物語を書き続けたいから」こそ書いた、著者初の“超インモラルな”性愛小説集が今、その禁断の扉を開く。

【感想】
 エロい。エロ小説だ。
 どこをとっても官能小説である。今までの重松清作品にはないものである。単行本が3年半前に出ているので文庫になったことでその作品評価は変わらないだろうが出た当初はかなり批判の的になったのではなかったかと思われるほどの内容である。
 と思っていたところあとがきにそのようなことが自身の言葉で書かれていた。後書きから先に読んだ方がいいかもしれない。どれをとっても官能なので文学的要素を見いだすのは大変かもしれない。
 夫婦の愛情とか性欲の描き方とか様々だ。石田衣良の作品に「娼年」という同じく連作短編集があるがその方が文学的要素がありそうだ。しかし自分にはただのエロ小説以外の何ものでもないな~。

【終わりに】
 いやあほんとにエロだ。こういうものも描けるんですね。しかも掲載当時は匿名だったらしいではないですか。そりゃ~エロさを演出してます!
 重松清恐るべしですね。これ映画化されているんですね。

【関連リンク】
▼本雑誌過去の書評
http://www.webdokusho.com/mettakuta/review.php?book=4221&review=82

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2007年5月26日 (土)

哀愁的東京

【はじめに】
 仕事の関係で寝不足です。なかなか忙しいと読めないというのは言い訳でしょうね・・・。きっと。反省しきりのおおたろうです。
 さて今回は今年重松清二冊目です。実は三冊目も既に用意してあります。目黒考二氏が好きそうなやつです(勝手にそう思いこんでいるだけですが)。

哀愁的 ○タイトル:哀愁的東京
○著者:重松清
○出版社:角川書店 文庫
○ISBN:4-04-364604-6
→Amazonへのリンク


【引用紹介文】

進藤宏。
40歳。
新作が描けなくなった絵本作家。フリーライターの仕事で生計を立てる進藤は、さまざまなひとに出会う。破滅の時を目前にした起業家、閉園する遊園地のピエロ、人気のピークを過ぎたアイドル歌手、生の実感をなくしたエリート社員…。進藤はスケッチをつづける。時が流れることの哀しみを噛みしめ、東京という街が織りなすドラマを見つめて―。「今日」の哀しさから始まる「明日」の光を描く連作長編。

【感想】
 ハッキリ言ってしまうと紹介文などに「明日」の光と書いてありますが、そんなものではないと思います。重いです。単なる連作短編と思いきや主人公、進藤宏を通してあらゆる人の生き様を重く描いている。そこに垣間見える光は希望ではないような気がする。
 第七章ボウにある破滅に向かう元友人の言葉「俺は誰だ、俺は誰だ、・・・」という描写は生半可ではない。行くところまで行けば立ち直るしかないという逆説的な光が描かれている。全編通してそんな感じである。
 ただし、絶筆状態になった進藤の作品、「パパといっしょに」が全編にわたりアクセントになっていることで進藤の精神の回復といえばいいのだろうか。全てを受け入れる態度というべきか。救われる。

【終わりに】
 読んだ本の評価がここには具体的にはついていない。本当は評価をつけています。ただし伏せてます。何故つけないか?自分でも分かりません。最初はつけた気もするけど、読んだ事実だけを記すってな気持ちが強いからかも!しれません。
 何故、冒頭に目黒考二氏を出したかというと結構好みの作家ではと思ったからです。「哀愁的東京」でグッグッて見たら案の定ありました。

【関連リンク】
▼web本の雑誌:目黒考二の中年授業 第36回
http://www.webdokusho.com/rensai/meguro_c/cyunen37.htm

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2007年5月18日 (金)

マドンナ

【はじめに】
 本屋のポップで会社万歳!という風に掲げられていた。これは皮肉にとるべきか?果たしてまっとうにとるべきか?俺は後者をとりたい・・・おおたろうです。

マドンナ ○タイトル:マドンナ
○著者:奥田 英朗
○出版社:講談社 文庫
○ISBN:4-06-275263-8
→Amazonへのリンク


【引用紹介文】
 今回はありません。

【感想】
 ずばり!仕事のこととオーバーラップして読みました。せっかくの娯楽作品をなんて~読み方をと思う人がいるでしょうが良いんです。そして面白かったです。
短編5編からなる一冊であるが主人公は全て40代のサラリーマン、中間管理職だ。人事異動で来た女性社員にほのかな思いを寄せたり(マドンナ)、家庭内の問題と会社の問題に板挟みになったり(ダンス)、エリートコースでの一こまを組織内でどう消化するか(総務は女房)、女性上司とどのようにつきあうべきか悩んだり(ボス)、父親の後ろ姿を仕事中に垣間見たり(パティオ)、どうにもこうにもサラリーマンの悲哀やら喜びやらが描かれている。
 俺が大学時代に思い描いていた会社世界がハッキリと描かれている。驚くほど思い描いていたイメージとぴったりと当てはまる。会社内の人間関係、仕事の進め方や考え方。上司と部下。視点を変えて色々なアングルから見られる社会人生活の悲喜こもごもが随分と眩しい。
 現実とのギャップをその分はっきり認識できた。しかし自分が主人公になった気分になれたから小説にはすんなり入り込めた。

【終わりに】
 思い描いた世界というのは個人的な思いこみが激しいですからね~。なかなか人には言えないけど会社勤めをしたときの自分の発想が大分時代遅れというか貧困だったな~と苦く思い出しました。
 目標設定とか実績主義とかこの10年で取り入れられる会社の世界にとってやりがい(生き甲斐ではなく)だけを求めるだけはだめですかとこれまたしみじみ問い直しました。

【関連リンク】
・・・・

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2007年5月 1日 (火)

自転車少年記―あの風の中へ

【はじめに】
 昨日はいい天気だった。今日は天気が崩れるらしい。GWだがほとんど仕事である。こんな時は本でも読んで空いた時間を有効に過ごそうかと思っています。

自転車少年記 ○タイトル:自転車少年記―あの風の中へ
○著者:竹内真
○出版社:新潮社 文庫
○ISBN:4-10-129851-3
→Amazonへのリンク


【引用紹介文】

あの日、僕は、親友の草太、伸男と、自転車で走り始めた。生まれ育った南房総の風ケ丘から、目指すは大都会・東京。新世界への旅立ちだ。喜びや挫折を味わいながら、僕らは夢に向け、ペダルをひたすら漕ぎ続けた。仲間と、東京から日本海を目指す自転車ラリーを完走した。もちろん素敵な恋もした。単行本版『自転車少年記』の構想を元に新たに書き下ろされた、爽快無比の成長小説。

【感想】
 読んでいる最中もそうであったが読み終わった後も面はゆい感じがした。それだけ歳を重ねたのだろう。現実を見過ぎているサラリーマンには久しぶりに眩しい小説を読んだ。直球ど真ん中の青春小説だ。
 昇平、草太、伸男の同級生三人の物語。高校を卒業しそれぞれが新しい生活に入る所から物語が始まる。友情や恋、目標に向けての転機それら全てに自転車が関わっている。自転車で何かをするという行為を通じて成長をしていく姿を実に颯爽と描いている。
 主人公は昇平。昇平の視点で草太、伸男との関係が語られていく。また失恋や結婚、転職などを自転車を通して表現しているのはお見事である。しかし、社会に出て十年も経つと半端ではない挫折を経験したり見たりする。あるいは韜晦する大人の腹黒さとか。この物語の中で出ているエピソードは挫折というほどではない気がする。
 このように思うことがすれている証拠なのかもしれないがどちらかというと主人公は草太の方が良かったんではないかと思う。
 最後の解説で知りましたが文庫と単行本とでは構成が違うのね。ということは単行本はまた違ったテイストになるようなので主人公は草太という自分の考えが少しは当たっていることになるのだろうか。

【終わりに】
 友人と先日会ったときにたまたまこれを読んだことを話したら自転車少年の彼も読んでいた。しかも文庫と単行本両方読んでいた。すっかりどっちがいいのか聞き忘れた。どっちが良かったのだろうか。

【関連リンク】
▼自転車少年記:愛知テレビ
 ドラマ化されていたんだ。
http://www.tv-aichi.co.jp/jitensya/
▼新潮社HP
http://www.shinchosha.co.jp/book/468001/
単行本の情報です。紹介が全く同じですね。これではぱっと見同じと思ってしまう。

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2007年4月28日 (土)

ワセダ三畳青春記

【はじめに】
 やっと仕事が忙しくなってきた。なんだか季節労働者ぽい言い方だがサイクルがあるので忙しくなる時にそうならないと予定がたたない。でも今年はちょっと遅れが目立つ(゜_゜;)ちょっとイラっとしてます。そんな時は笑える本を!


ワセダ三畳
○タイトル:ワセダ三畳青春記
○著者:高野秀行
○出版社:集英社文庫
○ISBN:4-08-747632-4
<Amazonへリンク>


【引用紹介文】

 三畳一間、家賃月1万2千円。ワセダのぼろアパート野々村荘に入居した私はケッタイ極まる住人たちと、アイドル性豊かな大家のおばちゃんに翻弄される。一方、私も探検部の仲間と幻覚植物の人体実験をしたり、三味線屋台でひと儲けを企んだり。金と欲のバブル時代も、不況と失望の九〇年代にも気づかず、能天気な日々を過ごしたバカ者たちのおかしくて、ちょっと切ない青春物語

【感想】
 簡単にば~か~でぇという内容の本だ。早稲田大学探検部に所属する著者と取り巻く怪しい仲間達のただ笑える出来事の数々がいい。
 ひたすらに社会の誰にも迷惑をかけず好きなことをやる。それがたまたま底辺であるにも関わらず笑えるのは解説にある「とんちゃく」しない性格からなのだろう。もう笑いたい時に読む本である。

【終わりに】
 エッセイみたいな読後感は結構独特。似たようなものに椎名誠の「哀愁の町に霧が降るのだ」を読んだことがあるが当たり前だがそれとは違うペーソスがあっていい。
 話変わって最近、どうしても欲しいものが出来た。HDD+DVDデッキだ。今やVHSは古いのだそうで・・・。店頭で見ても頭出しや画質など当然のことながらVHSよりいい。欲しい。いや買おうと思ってます。

【関連リンク】

▼高野秀行オフィシャルサイト
http://www.aisa.ne.jp/takano/index.html

【読書種別】

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2007年4月26日 (木)

卒業

【はじめに】
 今年になってからISBNコードの割り当てに国を表す「4」の前に「978」が新たについている。これは何を表すのだろうか?バーコードには以前から978がついていたけど全然気にもとめていなかった。ここに来てかなり気になり始めた。

卒業 ○タイトル:卒業
○著者:重松清
○出版社:新潮社文庫
○ISBN:4-10-134919-3
<Amazonへリンク>


【引用紹介文】

「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」ある日突然、十四年前に自ら命を絶った親友の娘が僕を訪ねてきた。中学生の彼女もまた、生と死を巡る深刻な悩みを抱えていた。僕は彼女を死から引き離そうと、亡き親友との青春時代の思い出を語り始めたのだが―。悲しみを乗り越え、新たな旅立ちを迎えるために、それぞれの「卒業」を経験する家族を描いた四編。

【感想】
 電車の中で読んでいた時、目頭が熱くなった。今までこのようなことがなかった。生きること。そして死ぬことをあらゆる角度から切なる思いを込めて訴えかけるように読ませる。4編全てがいい。
 「まゆみのマーチ」「あおげば尊し」「卒業」「追伸」いずれも死が一つのテーマになっている。「まゆみのマーチ」は母の死からその生き様を見直す。「あおげば尊し」は父の死から生きることを教わる。「卒業」は死んだ友人あるいは父から生きる力を教わる。「追伸」は死んだ母を究極に思い描くことで継母への思いを新たにする。
 どれも筋が通っている。素直に死を受け止めることで新たに生きる根源を得る。生と死は一つということなんだ。少なくとも身近に生きる人の死は影響を及ぼすことが染みてくる。
 最近姪っ子が生まれた。小さい命だ。間近で見る初めての小さい命だ。これ読んで涙が出そうになったのは姪っ子を思い出したからかもしれない。

【終わりに】
 重松清の本を読んだのは実に一年半ぶり。「明日があるさ」以来です。これ確かエッセイだったような覚えがある。もっと読みたい作家の一人かな~。ちなみに目頭が熱くなったのは「あおげば尊し」です。

【関連リンク】
▼Wikipedia:
重松清
【読書種別】

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2007年4月24日 (火)

ハゲタカ2

【はじめに】
 先週は寒かった。最近は天候が不順で困る。すっかり主人公の人柄に惹かれてⅡもあっという間に読みました。

ハゲタカ2_上 ○タイトル:ハゲタカ2
○著者:真山仁
○出版社:講談社文庫
○ISBN:上:978-4-06-275687-7
○ISBN:下:978-4-06-275689-1

ハゲタカ2_下

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【引用紹介文】

 「いつか日本を買収する―」。1年の海外放浪を経て、帰国した鷲津政彦が、まず標的に定めたのは、繊維業界の老舗「鈴紡」。一方、鈴紡は元銀行員の芝野健夫を招聘し買収防衛を図る。その裏に、かつての芝野の上司で、UTB銀行頭取、飯島の思惑があった。激烈な買収戦争で最後に笑うのは。

 鈴紡の次に、鷲津が狙いをつけたのは、巨大電機メーカー・曙電機だった。曙は買収阻止と再建の切り札として芝野を頼る。再び相対する二人。攻める鷲津、守る芝野、さらにアメリカの有力ファンドも買収に参入し、事態は混沌としていく。企業買収を舞台に、壮大なスケールで描いた話題作。

【感想】
 鷲津なりの復讐が終わった後、日本に居ることが出来ず一年間の放浪へ出ることになる。この一年間に彼の友人の死、ファンドを取り巻く環境の変化があり彼自身の理性を奔放さに向かわせる。
 熾烈さを増す企業買収劇裏側の世界を丹念に描きつつ主人公を中心とした群像劇が読み手の脳味噌をフル回転させる。
 自暴自棄になるかのような主人公、企業買収に潜む謀略、企業再生による一般社員への犠牲、高所低所からの視点が随所に効いてテンポ良く読み進める。ただし、ちょっと主人公鷲津の戦略が勝ちすぎている。とにかく外れがない。伝説のゴールデンイーグルそのままにひたすら強い。三国志の諸葛亮孔明でもそうはならないだろうという展開がぎょっとする(曙電機へのTOBの下り)。
 このⅡは主人公の心の移り変わりが一つのテーマとなっているから全てがうまくいく構成にはなっていないのかもしれないがちょっとうまくできすぎている感は否めないよな~。と思う。音楽のセレクトはすごく良かった。

【終わりに】
 NHKBSHiで再放送が決まった。うれしい。今度はちゃんと録画しないと!
 今時ビデオテープは古いかもしれない。これを期にHDDかDVDに変えようかな・・。(^ヘ^)v・・・あ~よく見たらDVDが販売される!これは買うしかない。

【関連リンク】
▼NHKエンタープライズ
http://www.nhk-ep.com/view/11795.html

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2007年4月22日 (日)

ハゲタカ

【はじめに】
 この本を読んで最初にしたことは肉を食べることでした。無性に食べたくなった。ビジネスモデルは最近はアメリカから来るものが多い。金融工学の発達もある。おそらくは文化の違いもっと言うと食べるものの違いがビジネスでの行動に影響が出るんではないかと・・・。そう思いました。

ハゲタカ上 ○タイトル:ハゲタカ
○著者:真山仁
○出版社:講談社文庫
○ISBN:上978-4-06-275352-9
○ISBN:下978-4-06-275353-7

ハゲタカ下

<Amazonへリンクしてます>


【引用紹介文】

 ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、瀕死状態の企業を次々と買収する。敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、鷲津は斬新な再プランを披露し、業績を上げていく。企業買収、再生の真実を克明に描いた問題作。

 企業再生が軌道に乗りはじめた頃、鷲津政彦は元銀行員・芝野健夫、老舗ホテルオーナーの娘・松平貴子と偶然出会う。二人と接触を重ねるたびに、鷲津の過去が明らかになっていく。そこに潜むある事件とは?そしてニューヨークから日本に戻った鷲津の真意が判明した瞬間、驚愕のクライマックスが訪れる。

【感想】
 NHKの土曜ドラマを見て原作を読まずにはいられなくなり今年一発目の読書となる。内容、分量共に厚いそして充実感のある本であった。
 失われた十年と言われる日本経済の停滞期を不良債権ビジネス、企業買収による企業再生を描いた社会経済小説である。
 とにかく実際に起きた事件を想起させる物語の設定や銀行の裏側、主人公の人柄からくる緊張感が否応なく読み手を物語に引き込んでいく。とにかく早い。しかも早さだけではなく経済の流れや法律の必要性、不良債権の意味までが分かってしまうという内容の凄さがこれにはある。
 主人公の鷲津政彦の人物設定はどこか隆慶一郎の「死ぬことと見つけたり」の斉藤杢之助に似通う常在戦場の死人の臭いがするところがある。冒頭、彼の父の死がそして父の言う「正義」がこの小説の全てということが後半になると分かる。しかし彼の企業買収、再生へ取り組む姿勢は後半に至る過程ではPassionと昇華されていたけど徐々に復讐へと形を変えるところがちょっと意外な展開である。

【終わりに】
 すごい久しぶりの更新・・・(^_^;)実を言うと首痛のためまともに本を読むことが出来なかったのです。今も大して変わらないけどけなげにも活字中毒の方が頭をもたげたわけです。
【関連リンク】
▼NHK土曜ドラマ:ハゲタカ
http://www.nhk.or.jp/hagetaka/
▼ドラマ:ハゲタカ:渋谷で働くドラマディレクターの日記
http://www.nhk.or.jp/hagetaka-blog/
▼エンディングテーマtomo the tomoBlog
http://pub.ne.jp/tomothetomo/


【作内情報】
1) マイルス「死刑台のエレベーター」
 ドライブウェイのスリル
 シャンゼリゼを歩むフロランス
2) 映画「スティング」のテーマ曲
 ラグタイム王スコット・ジョプリン「メープル・リーフ・ラグ」
3) 映画「カサブランカ」
 アズ・タイム・ゴーズ・バイ(時の過ぎゆくままに)
4)ビル・エバンス「アローン」
 ア・タイム・フォー・ラブ ジョニー・マンデルの曲
 ミッド・ナイト・ムード
 ネヴァー・レット・ミー・ゴー
5)カインド・オブ・ブルー
 マイルス・デービスとビル・エバンスとの傑作

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2006年9月27日 (水)

遠き雪嶺

遠き雪嶺上 ○タイトル:遠き雪嶺 上
○著者:谷甲州
○出版社:角川書店 文庫
○ISBN:4-04-170102-3


遠き雪嶺下 ○タイトル:遠き雪嶺 下
○ISBN:4-04-170103-1


 久しぶりに気分が高揚する本を読んだ。一昨日から昨日にかけて天気が崩れていたがそんなことを吹っ飛ばすぐらい充実した内容だった。
 日本登山黎明期にあたる熱気をそのまま小説世界に凝縮した一冊である。日本初となるヒマラヤ遠征を描いている。冒頭、主人公にあたる浜野隊員がナンダ・コート頂上を攻略している描写が登山が成功するのかどうか固唾をのむことになる。しかしこの導入部が非常にうまい。後半に続く物語のある種成功の予感があった。
 全体の構成としてはヒマラヤ遠征が行われるまでの日本登山初期の状況を丹念に説明し何故遠征を行ったのが立教大学山岳部だったのかを解き明かしていく。立大山岳部のパイオニアワークと登山に対する戦略が必然的にヒマラヤに目を向けさせていく過程がぞくぞくするほどである。
 立大内での遠征へ向けての動きの中で挫折、人間関係の綾、当時の日本社会の状況など複雑な状況をヒマラヤへの熱い情熱が克服していく様は読んでいて清々しい気分なる。しかし当時の日本社会が決して遠征に協力的なムードではなかったことが意外である。いずれにしても堀田隊長以下5人の精鋭の苦難の遠征が始まるのである。
 遠征の状況はそれこそ自分も参加しているような錯覚に捕らわれるほど生き生きとしている。彼らの活動が手に取るようで初の遠征として立大山岳部のパイオニアワークを充分に発揮している。彼らのつきることのない思いがナンダ・コートの攻略を成功させたのである。時に昭和十一年である。
 しかし戦争が始まり登山をする状況は一変する。つまり余裕がなくなる。既に時代は閉塞感を伴い海外遠征は無論のこと国内でも戦争のためそのようなことを行う余地はなくなったのだ。彼らの夢であるヒマラヤは遠き雪嶺となってしまう。その後、二十年の時を経て再びヒマラヤへの夢を実現することになる。
 ため息と同時にまさに「遠き雪嶺」を実感する。
 パイオニアワークとしての登山の持つ冒険性、登攀技術の発達の他に見逃せないのが大学を含めた社会状況の今との違いである。堀田隊長以下主人公の浜田隊員は立教大学出身であり社会のエリートに属するという面である。大学進学率が本当に一握りの人にしかなかった時代に登山に打ち込み単にヒマラヤを目指すのは自分のため支援をしている仲間のためと言い切ることの重みである。今ではなかなか言えない言葉ではないだろうか。自分たちが特別な存在になっていることを充分に理解して行動することの凄さ、責任の重みや行動の自律性は全て今では考えられないものがあるのでないか。そういうものも含めて遺憾なく発揮している作品と思う。

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2006年9月20日 (水)

全日本食えば食える図鑑

食えば食える ○タイトル:全日本食えば食える図鑑
○著者:椎名誠
○出版社:新潮社 単行本
○ISBN:4-10-345617-5


 著者が全国の珍食、奇食を食っていくというルポルタージュ風エッセイ。石垣島でヤシガニ、佐賀でイソギンチャクをという具合に普段食べないものを実際に食べていく。

食えるか否か、考える前に食うのだ!ゴカイ、ウミヘビ、思わず笑える名古屋食…。みーんなごちそうさまでした。
睾丸のようなもの。ぐねぐねするやつら。―沖縄県 与那国島・石垣島
なんてこったの肛門チンポコ生物。―佐賀県 有明海・唐津
決め技はコリコリとずるずる。―京都府 伊根・丹後
奇食ではなく貴食なのであった。―北海道 阿寒湖
ヒトは禁じられると求めるものだ。―岩手県 遠野・宮古
高知の山海秘密の三本勝負。―高知県 安芸・大方
食うか食われるか。ミキにはキミの夢がある。―鹿児島県 奄美大島
でっかくて黒いやつ。小さくて黒が好きなやつ。―青森県 鰺ケ沢・下北半島
輝け!第1回全日本麺の甲子園大会。―日本全国
でらうまの謎。―愛知県 名古屋
愛と策略の蜂の子まぜごはん。―長野県 白馬・穂高
鮒ずしへの詫び状。―滋賀県 琵琶湖

 自身が事前に調べたことを書くわけだがどうもブックガイドの一面もある。地元関連の食文化や食材の学問的な説明などあらゆる本を読んでいる。それに比べて実際に食べている感想がちょっと短いような気がする。
 それと読んでいて違和感を感じたのが構成である。写真と文章の配置が別になっているので食べているイメージがなかなか伝わってこない。ヤシガニ、蜂の子、フジツボなど文章とイメージがうまく絡んでいれば。。。もうちょっと何とかならなかったかと思う。
 まあ良くも悪くも椎名さんの本だ。

椎名誠の麺の甲子園ブログ
http://blog.excite.co.jp/koushien
世界不思議発見!第978回 離島へ行こう! あなたの知らない沖縄!!
http://www.tbs.co.jp/f-hakken/mystery978_1.html
ヤシガニのことをやってました。

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2006年9月 2日 (土)

女信長

女信長 ○タイトル:女信長
○著者:佐藤賢一
○出版社:毎日新聞社 単行本
○ISBN:4-620-10702-6


織田信長は「天才」ではない。普通の人間、そして、女だ。だからこそ、時代の最先端をいき、歴史はかくの如く動いたのだ-。鬼才が、空前絶後の大胆な発想で、史実のなかに「生身の信長」を描ききった戦国小説。

 佐藤賢一作品を初めて読む。ヨーロッパ中世史を舞台にした時代小説を書いているのは知っていた。それは内容より文庫本なりの装幀が重厚なため印象に残っているからだ。
 今回、この本の評判を知って手に取ったわけではない。表紙の西のぼる氏による装画が気になって手に取った。タイトル通り「女」信長が描かれているが私だけかもしれないが頭の描き方が非常に気になった。
 浮いたような髪、まるでそこに月代があるような濃淡の付け方!私の目には顔ではなく頭しか本屋で目に入らなかった。「何じゃこりゃ?」で買ってしまった。
 作品を読めば信長を演じる御長の方が表紙だとわかるがさらに読めば、鬘であることを言いたかったのではないかと感じるわけである。それこそ内容の印象をより深めるためにわざわざ気になるような描き方をしたのではないかと思うのである。
 さて読んで帯にもあるがまさに大胆である。しかし理に適っている。女が故に力に頼らない戦術、武器の選定はもちろんのこと物価を高いと判断する経済観念とそれによる流通破壊。より効率性を高めるための兵農分離と城下町移転。
 何より男としての信長のみならず本来の女としての御長の方の何と奔放であることか。幾多の恋や男を手玉に取る大胆さ。時代小説としても恋愛小説としても楽しめる一面があり充実の一冊であっった。

本の雑誌2006年8月の課題図書:女信長
http://www.webdokusho.com/shinkan/0608/t_1.htm

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2006年8月16日 (水)

アメンボ号の冒険

アメンボ ○アメンボ号の冒険
○著者:椎名誠
○出版社:講談社 文庫
○ISBN:4-06-275452-5


ヨロコビとコーフンに満ちた、少年時代の黄金の日々。
夏休みには、いかだで海まで川下り。
秋には泊まりがけで、堤防の突端までトロッコを走らせる。
冬休みにはクスノキの上に秘密基地を作り、幻灯会。
手作りの玩具とスリリングな出来事の数々。
作家・椎名誠が仲間たちと体験した、小学校5年の頃の大冒険記。

 作者が黄金時代と呼ぶ自身の小学校時代に経験したことをベースに児童向けに書いたものになっている。昭和三十年代の戦後復興期にかかる千葉県幕張近辺の子供たちの遊びがテーマだ。
 筏作り、海での遊び、鉄砲などの小道具の作り方など挿絵入りで細かく描写している。説明が細かいのはおそらく読んでわかるようにするためか。そのためちょっとくどい感じがするのが残念だ。挿絵があるのでその場の臨場感が伝わってくる文章にした方がもっと良かったと思う。

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2006年7月30日 (日)

あたしのマブイ見ませんでしたか

マブイ ○あたしのマブイ見ませんでしたか
○著者:池上永一
○出版社:角川書店 文庫
○ISBN:4-04-364701-8


 池上作品を初めて読む。短編集だがいずれの作品も丁寧に描かれている。内容如何に関わらず読みやすい。

寓話と現代文学が美しく融合した作品「カジマイ」ほか、みずみずしい感性が紡ぐ、切ない八つの物語。著者初の短編集。

 しかし、最初の三編(マブイの行方、サトウキビの森、失踪する夜)は沖縄を舞台としておそらくその土地に伝わる民話や風土記が元になっている一種異様な作風であった。あまりに衝撃が強すぎて後の作品が普通に感じるぐらいだ。他の五編も巧みな表現がやるせなさを充分出しているのだが最初の三編でこれは決まりだ。
 沖縄出身の作家なのですね。沖縄の精神世界や風土が背景にあるのですね。通りで納得です。現代の日本の深層を抉るかのような短編が後半にあり非常に内容としては重いはずなのだが書き方にこの方の実力があるのだろう。これはおすすめの一冊である。

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2006年7月24日 (月)

時生

時生 ○時生
○著者:東野圭吾
○出版社:講談社 文庫
○ISBN:4-06-275166-6


初めて東野作品を読む。友人からの紹介で読んでみた。
トキオが生きる証を残すための物語。

不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、二十年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った―。過去、現在、未来が交錯するベストセラー作家の集大成作品。

感動した。生まれ来たことの証のために感謝し自らの意思で立ち上がっていく。
話の展開も申し分なくトキオは生きたことの証を残したのだ。
最近涙もろいので涙腺が緩みぱなっしで困った。

ところでこの方はミステリーやサスペンスをメインで書く方かと思ったがこういう一面もあると言うことがわかっただけでもうれしい。

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2006年7月20日 (木)

陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャング ○陽気なギャングが地球を回す
○著者:伊坂幸太郎
○出版社 祥伝社 文庫い14-1
○ISBN:4-396-33268-8


 実に痛快な小説であった。読んでいる最中に面白くて笑ったのは久しぶりだ。因みに伊坂作品は初めて読んだ。
 成瀬、久遠、響野、雪子の4人は普通にはない人物設定とそれぞれの役割が明確なのでメリハリがあって各々やり取りが歯切れ良く心地良かった。
 銀行強盗を行うギャングの4人組が犯行後さらに別の現金輸送車強奪犯に自分たちのお金を奪われるところから話が始まる。仕返しをすべく行動を起こす4人のギャング。展開の早さや強盗らしくない哲学で4人の意図が全く読めない。だからはらはらするのだろう。ひたすら陽気なギャング達!
 とても面白かった。続編が出たのでそれも読もうと思う。

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2006年7月15日 (土)

モヤシ

モヤシ ○タイトル:モヤシ
○著者:椎名誠
○出版社:講談社 文庫
○ISBN:4-06-275372-3


 自分にとって椎名誠は安心して読める作家の一人だ。文章のリズム、構成、内容いずれも良い意味でも悪い意味でも納得して読むことが出来るからだ。馴染みの店ならぬ作家だ。
 主人公が健康診断の結果から尿酸値が高く痛風になる可能性があることを指摘されるところから始まる。そこから食生活に気をつけるようになりモヤシとの出会いがあった。モヤシを絡めて主人公がどう感じたか、別の食べ物がどうなのかを実に細かく描写しいている。仕事で旅行をする際にモヤシの栽培キットを持ち歩くことになり日々の成長がモヤシに感情移入していく様が面白い。
 本書は完全に自身の体験を基本とし構成もほとんど実際といっていい。だからエッセイとほとんど変わらないギリギリの線といえる。著者は私小説ならぬ私モヤシ小説といっているが結局主人公がモヤシと出会ったことでどうなるのかちょっと物足りなかった。

 『「こうして自分で育てたものを毎日食べるというのはけっこう楽しいものね」
 私はすぐには何も答えられなかった。まあ結局は食べるためにモヤシを栽培していたのだろうが、今の私にその勇気があるだろうか。日本の農業と多くの農家の人々、そしてその人々がつくる農作物のことなどについて思いをはせながら、これからの私とモヤシとの間がどうなってゆくのかということを、旅の荷物をほどきながらしばらく考え続けていた。』

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2006年4月26日 (水)

ジャンキー・ジャンクション

ジャンキージャンクション

谷 甲州 著 
早川書房 文庫 JA814
おすすめ度:★★★


 ヒマラヤ・ヴァジュラカンを舞台とした山岳冒険小説。山登りが出来ない人でも迫り来る自然の驚異や絶景の描写は楽しめる。
 偶然の経緯からアメリカ人のマックス、イギリス人のジョージ、デニス、日本人の加藤由紀と国際隊を組むことになる。チームワークがまるでなくトレーニングのつもりと割り切る筧井宏であったが参加した人々の複雑な思惑に翻弄される。
 デニスのジョージへの憎悪と怨念が由紀や宏を幻想やある種シャーマン的な予感を抱かせる。すれ違いや遭難寸前という事態にまで展開するが最後にはお互いを信頼する精神的タフさを身につけていく。
 キーポイントはマックスだ。超人的な人物設定で精神世界を巧みに演出している。クライミングを中心としたタフな登山にパイプを加えてやるやつがいるのだろうか?7千メートルを超える世界で肉体、精神ともに常人の枠を超えた人物を設定したことが活きていたし読み手の困惑を増したかもしれない。

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2006年4月14日 (金)

博士の愛した数式

イメージ

小川洋子 著
新潮社文庫 お45-3
おすすめ度 ★★★★


 数式に人間的な温かみを持たせるとは正直すごいと思う。人と人が触れあうその橋渡しとしてさりげなく登場する数式という名の脇役たち。全く数式がわからなくとも違和感なく接することができる。
 本当に温かい小説だった。

 こんなぐらいしか書けない。

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2006年4月 4日 (火)

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綿矢りさ 著
河出書房新社:文庫
おすすめ:★★★


 当時高校生だった作者の処女作にして代表作。上戸彩主演で映画化もされた。今回文庫化されるにあたり読んでみた。ちなみに第38回文芸賞受賞作。最年少、17歳での受賞でありその後平成15年後期の第130回芥川賞を「蹴りたい背中」で受賞している。
 著者と等身大の主人公朝子。高校三年になり今後の進路や行き方に目標を見出せず学校を長期欠席する。全てをリセットしようと部屋の中の物をゴミ捨て場へ持っていく。その時に最近引っ越してきたかずよしと出会う。ゴミであったはずのパソコンを引き取りリセットしなおすかずよし。そんなかずよしも自分自身の家庭に馴染めないもの心開けないものがあったのだ。
 二人が出会いコンピュータを用いてエロチャットという擬似世界で儲けることになる。このエロというのが通俗でいい。非現実なようなでとてもリアルな世界。学校に行っていないことがばれていないと思う朝子。かずよしの家にもばれていないと思う朝子。彼女自身がリセットされていないことに気づくのは全てがばれていると気づいたときだ。
 その時初めて彼女のインストールが始まる。 短編と言っても差し支えない程の長さである。発表当時著者自身も高校生ということで同世代からの支持を受けベストセラーになっている。この内容ならうなずける。軽妙なようでいてしっかり主人公朝子が言葉を選んでいっている。芯の強さと虚無であることをことさらに強調しようという精神の弱さ。大人になりたいのかこのままでいたいのか思春期特有の心の葛藤がなまめかしい。

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